改正された商法(運送法・海商法)が施行されたことで、運送業務に関わる企業では契約書や実務運用などに対する影響に注意が必要となりました。
物品運送に関する法改正では損害の責任なども記載されているため、いくつか押さえておきたいポイントについて説明していきます。
荷送人(運送依頼者・荷主・総合物流業者・フォワーダー・宅配業者など運送取扱人)は、運送品に引火性・爆発性など「危険性」があるときには、運送人に対し引き渡し前に情報の「通知」が必要です。
荷送人が「通知義務」を怠ったことで事故が起来た場合には、損害賠償責任を負うことになります。
荷送人が運送人に対し運送委託するとき、高価品であることを告げていなければ、運送人が損害賠償責任を負うことはありませんでした。
しかし改正により、次の場合には運送人が損害賠償義務を負うことになります。
・物品運送契約を締結するとき、運送人は運送品が高価品であると知っていたとき
・運送人の故意または重大な過失で高価品が滅失・損傷・延着を発生させたとき
陸上運送・海上運送・航空運送のうち二以上の運送を一契約で引き受けたとき、運送品の滅失などの運送人の損害賠償責任は、それぞれの運送ごとの原因で適用されます。
運送品の損傷・一部滅失に関する運送人の責任は、荷受人が異議をとどめず運送品を受け取った場合消滅します。
ただし運送品にすぐ発見できない損傷や一部滅失があったときで、荷受人が引き渡し日から2週間以内に運送人に通知を発したときは、この限りではありません。
運送品の滅失に関する運送人の責任は、運送品引き渡し日から1年以内に、裁判で請求されないときには消滅します。
この期間は運送品の滅失などによる損害が発生した後に限って、合意により延長することも可能です。
運送人の荷送人または荷受人に対する債権は、行使することができるときから1年間行使しなければ時効によって消滅することになるため注意しましょう。
運送品の滅失などついて、運送人の損害賠償責任が免除または軽減されるときには、その限度において運送品の滅失などについての運送人の被用者の荷送人または荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任も減免されることになります。