運送会社にとって、荷主が顧客となりますが、中小零細規模の運送業者の場合は荷主ではなく大手運送会社やメーカーなどが多いといえます。
大手物流企業やメーカーなどはサービスの一部休止や縮小を決めているその一方で、豪雨や台風、地震などが起きても稼働を命じられるドライバーも少なくないのが中小零細規模の運送業者です。
日本は地震が頻発する国であり、最近では異常気象の影響で突然の豪雨などに見舞われることも少なくありません。
自然災害が増える今だからこそ、零細物流の在り方について考えるべきといえるでしょう。
下請けで活躍する代走するトラックは「傭車」と呼ばれており、大手なら6~8割、中小企業で大手の荷主を抱える元請会社なら6割がその割合となっています。
大手などの元請けが人手不足のときに使うだけでなく、自社便の運行時間が超過することで労働法違反にならないためにも利用されることがあります。
傭車はあくまでも下請けという弱い立場のため、台風など危険な状況でもトラックを走らせなければならない過酷なケースも多いといえるでしょう。
また、下請けのさらに下請けである孫請けや、その下のひ孫請けなどは、運賃はダンピングされてしまい、仕事は過酷なのに収入は不十分など、末端ほど労働環境が悪化しやすくなります。
走ることができないなら他社に依頼するといわれてしまうことを恐れて、無理にでも赤字覚悟でトラックを走らせるケースもあるようです。
中小零細の運送業者がコンプライアンスや労働基準法を守りにくいのは、このような重層下請の構造が関係しているともいえます。
自然災害などで危険な状況の中、トラックを走らせたくないと誰もが考えるものでしょう。
しかしドライバーの多くは日給と手当が基本となる日給月給制のため、仕事がなければ収入に影響します。
大型連休が増えることや、災害の発生で仕事がキャンセルになれば、休みは増えてもけっして歓迎できることではないといえます。
雨風が吹き荒れる中でも、トラックを走らせることが必要である労働環境は、ドライバーの安全確保やコンプライアンス遵守の意識と遠いといえます。
需要があれば走らなければならない中小零細の運送業者は、大手のコンプライアンスの厳格化や荷主都合などの影響を受けることとなり、労働環境はより過酷なものになっているともいえるでしょう。