新型コロナウイルスの感染症が拡大したことにより、宅配荷物の受け取りを対面で行うことなど、できるだけ避けたいと考える方が増えました。
現在ではその傾向は薄れているものの、宅配業者が自宅を訪問したときに、留守にしていたり手が離せない状況にあったりすると、荷物を手渡しで受け取ることはできません。
そのようなケースでも荷物の受け渡しが可能となるサービスが「置き配」ですが、荷物の盗難被害などが起きやすいリスクもあるといえます。
そこで、大手宅配サービスを中心とした非対面による荷物の受け取りを認める置き配サービスで、荷物の盗難被害に対する損害賠償責任は誰にあるのか、解説していきます。
「置き配」とは、自宅玄関の脇などに届けた荷物を置いて配達完了とするサービスです。
受取時間や宅配ドライバーとの接触などを気にすることなく荷物を受け取ることができるため、コロナ禍では利用する方が増えたサービスともいえます。
ただ、玄関前に置いた荷物が盗難被害に遭うリスクもあるため、安全な置き場所を指定したほうが安心です。
置き配は、荷物の受取人と・販売会社・運送会社の3者が関わりますが、それぞれに次のようなメリットがあります。
・受取人 対面で受け取る必要がないため、時間や感染リスクを気にする必要がない
・販売会社 購入者増加が期待できる
・運送会社 再配達が不要となり生産性向上やドライバーの労働負担が軽減される
しかし荷物を置いたままにする以上、3者に共通していえるデメリット、盗難などの被害にあう危険性についても留意しておかなければなりません。
置き配指定の荷物を確かに玄関に届けたはずが、届け先から荷物がないとクレームが入った場合、盗まれたとも考えられます。
この場合、誰が損害賠償責任を負うのかが問題となりますが、次の2つのケースについて説明していきます。
・販売会社や運送会社が補償するケース
・荷物を盗んだ犯人が責任を負うケース
置き配の荷物が盗まれてしまうと、代替品を発送したり返金対応したりなど、補償することになるでしょう。
特に置き配に対する購入者の合意がなかったのにも関わらず置き配されていたときや、置き配対応されることを知らなかったときには、販売会社や運送会社が損害賠償責任を負う可能性があります。
請求できる可能性があります。
経済産業省と国土交通省が令和2年に公表した「置き配の現状と実施に向けたポイント」でも、売主と運送人は、買主と売主が合意した方法で荷物を引き渡すことが必要としています。
盗難被害に遭ったことを警察に相談し、荷物を盗んだ犯人が特定できたときには、刑事裁判ではなく民事裁判で損害賠償請求することが必要です。
刑事事件は犯人の有罪・無罪を判断するための裁判のため、仮に有罪が確定しても犯人に対し損害賠償請求できるわけではありません。
そのため、犯人に対し民事裁判を起こし、他人の物を盗む不法行為について賠償請求することになります。