運送業で一人親方として仕事をしている方の中には、自らも労災保険に加入したいということもあるでしょう。
実際、労災保険は補償が手厚く充実しているものの、一人親方は現場に入るなら事業主と同様に労災適用はされません。
しかし、現場でケガを負ったときなどのため、組合を通して特別加入の手続はできます。
そこで、運送業の一人親方が特別加入できる労災保険の内容と補償について、簡単に解説していきます。
運送業の「一人親方」とは、
「自動車を使用しておこなう旅客・貨物運送事業・原動機付き自転車または自転車を使用しておこなう貨物の運送事業」
であり、労働者を使用せず一人で仕事をします。
労働者を使用する場合でも、使用日数が年間で100日未満であれば一人親方となります。
一人親方は個人事業主に該当するため、労災保険に加入することはできません。
ただし、業務実態や災害発生状況などから労働者に準じた保護が必要とみなされれば、特別に労災保険へ加入することが認められます。
労災保険への特別加入が可能となるのは、一人親方を含めた次の4種とされています。
・中小事業主等
・一人親方等
・特定作業従事者
・海外派遣者
労災保険に特別加入した場合、毎月保険料の負担が必要になるものの、労災事故発生時には補償されます。
運送業の一人親方が労災保険に特別加入した場合、次の保険給付を受けることが可能となります。
・療養補償給付
・休業補償給付
・傷病補償年金
・障害補償給付
・遺族補償給付
・介護補償給付
・葬祭料・葬祭給付
そのため運送業で一人親方として仕事をしているのなら、万一の事故に備えて労災保険に特別加入しておいたほうが安心です。
労災保険に特別加入しておくことで、上記のような補償を受けることが可能となり、業務中の災害にも対応することが可能になります。
運送業の一人親方が労災保険に特別加入するときには、厚生労働大臣の認可団体(運送業一人親方共済会など)を通じ、団体所在地を管轄する労働基準監督署へ届出することが必要です。
ただし労災保険の特別加入は、加入団体により加入範囲が定められているため、詳しいことは加入団体に問合わせて確認しましょう。
同じ業務を行っていたのに、雇用されている労働者ではないことを理由に労災保険が適用されないといった一律の線引きなど、明らかな不利益・不公平をなくすためにも加入をオススメします。