2024年4月1日から、高速道路を走る大型トラック(大型車と車両総重量8トン以上の中型車)の速度制限は、従来までの時速80キロから90キロへと引き上げられています。
なお、大型トレーラは従来までの80キロと変わりありませんが、一部トラックの高速90キロ走行が解禁されたといえます。
高速道路では、重大事故につながるおそれもあるため、安全運転と交通ルールを順守することが特に重要です。
しかしなぜこのタイミングで最高速度が引き上げられたのか、高速道路における大型トラックの速度引き上げについて解説します。
高速道路における大型トラックの最高速度が引き上げられたのは、働き方改革による2024年4月1日からのトラックドライバーの年間最大残業960時間が施行されたことが関係します。
トラックドライバーの拘束時間・休憩・休息時間などの改正が行われた改善基準告示も施行され、労働時間短縮に伴う対応策が求められるようになりました。
関係閣僚会議で決定した物流革新に向けた政策パッケージの中の1つが、高速道路のトラック速度制限の引き上げです。
1963年に高速道路が開通してから、大型トラックの速度規制が変更されたのは初めてといえます。
これは、最高速度を引き上げることで輸送の効率化を図ると考えられているからでしょう。
大型トラックの高速道路における事故件数の推移・データなどを分析し、以下を検討したようです。
・実勢速度の調査結果
・上限90キロのスピードリミッター装着
・大型トラックの車両設計上の安全性能
・衝突被害軽減ブレーキなど安全装置の性能向上
その結果、2023年12月に大型トラックの速度は、90キロへと引き上げる提言がされ、それを受けた警察庁が道路交通法施行令を改正し2024年4月から実施した流れとなります。
高速道路を走る大型トラックは、現在も大きな変化は見られず、社内速度も従来通りの80キロを維持している事業者が多いようです。
そのため速度制限の引き上げの効果がまだ十分といえないものの、新たな車両開発など状況が変化したときには、将来的にまた引き上げを検討する可能性もあるといえます。
しかしドライバーの精神的な疲労強化や、それに伴う事故発生の増加の可能性も考えられるため、効果がないと判断されれば最高速度を80キロに戻す選択肢もゼロではないといえるでしょう。