運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

新型コロナによる一時的なモノの供給増大で物流に与えた影響

2020.08.20
分類:リスク

新型コロナウイルスの感染拡大により、政府は全国に緊急事態宣言を発令するなどの対応におわれました。それにより、不要不急の外出や移動は自粛を余儀なくされることとなったため、スーパーなどでは加工食品などの品薄・品切れが頻発しました。

消耗品など物品の供給ニーズも高まり、物流現場ではトラックを手配し出荷に追われるという状況が続いたのです。

供給量の増加で物流もフル回転に

外出を控えなければならない動きにより、小売店などでは加工食品やトイレットペーパーなどの消耗品を買い求める顧客が殺到し、品薄・品切れが頻繁しました。

対象となる商品の増産に追われるメーカーに合わせ、供給される商品の物流もフル回転で対応することとなったのです。

しかし物流現場はそもそも人手が不足しており、物流センターなどで働くパートタイム労働者は主婦層などが多いことが特徴です。

新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもが通う保育園が緊急的に閉鎖したり学校が休校となったりという状況で、勤務できない労働者も増えてしまいました。

それに加え物流を担当している正社員なども、出社を制限されテレワークなどで対応することになったため、より少ない人員で作業を行わなければならなくなったのです。

 

メーカー側も不安を抱く結果に

商品の品薄・品切れに対応するメーカーも、出荷を調整する時間が大幅に増えてしまったことにより指示に遅れが発生し、トラックを手配する時間もタイトなものとなりました。

物流センターでは大量の商品をさばくことができず、ドライバーも長時間に渡り待機しなければならなくなり、検品作業に追われるなど当日中に商品をおろすことのできない状態になってしまったのです。

今回のように物品の供給量が急激に増加したことで対応しきれなくなれば、ドライバーを待たさなければならなくなってしまいます。待たせただけでなく作業を手伝ってもらったり、せっかく何時間も待ってもらったのに当日中に対応できなかったりなど、それにより運んでもらえなくなって物流を止めてしまうのでは…と不安を募らせていたようです。

 

緊急事態に対応できる体制と機能が必要

加工食品業界などは受注した日の翌日配送が主ですが、物流のひっ迫で対応しきれず翌々日配送になってしまったケースもあったようです。

実際、緊急事態宣言を受けたことで一時的に翌々日配送となることを得意先から了承を得たというメーカーもあるとされています。

モノの供給が増えればそれによる物流も大きく変わるため、今後もこのような事態に円滑に効率的に対応できる体制や機能を整備しておくことが必要といえるでしょう。