消費税は2019年10月に増税されましたが、帝国データバンクが公表した2019年11月の全国TDB景気動向調査の結果によると、10月の景気DIは前月比1.1ポイント低下で3か月ぶりに悪化していました。
消費税率が引き上げられたことにより、日本の景気はどのような動きを見せるのか注目されていましたが、物流業界の動向を分析する上でも確認しておきましょう。
2019年11月段階の業界別景気DIによると、運輸・倉庫は前月比1.1ポイント低下となっていました。
10業界中、8業界で悪化している状況となったようですが、これは消費税率が引き上げられたことに加え、台風など大雨被害が相次いだことが影響しているようです。
物流業界などでは消費の動向がその後の鍵を握ることになりますが、輸送費や人件費なども企業経営の重荷になる中で、世界経済や貿易摩擦といった懸念材料も少なくない状況です。
さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、不透明な状況はしばらく続くといえるでしょう。
物流業界の場合、ECサイトが普及・拡大している状況のため、ニーズが高まっていると考えられています。
しかし台風や大雨などによる影響を受けやすい業界であり、実際に過去に起きた台風ではすべての業務を停止しなければならなくなるといった事態も起きています。
そして最低賃金の引き上げなどが影響し、人件費の負担も増しているといえるでしょう。
今回の消費税率の引き上げは、改正以外に初めて軽減税率制度が導入される点にも注目が集まりました。
8%が据置となる軽減税率の対象品目には、酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される定期購読契約に基づく新聞などです。
飲食料品を販売する事業者なら、税率ごとの商品管理に加え、レジ・受発注システムの整備や改修、さらに請求書・納品書に記載する事項を変更するといった対応に追われたことでしょう。
軽減税率対象の表記を追加し、税率ごとに分けた記載が可能となるようにすることが必要となりました。
物流業界でも食品を対象とする場合には影響があった部分であり、その対応に追われていたようです。
旅客運送などにとっては2020年に開催が予定されていた東京五輪効果も期待されていましたが、延期となったことで業界全体への追い風にはなりませんでした。
それに加え、新型コロナウイルスによる外出自粛などでの消費者マインドの下降、さらに慢性的な人員不足など不安材料に対する解決方法が見出せない状況です。