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物流におけるリスクヘッジでまず考えておきたいこととは?

2020.09.20
分類:リスク

物流業界では、様々なリスクが発生したときに備え、普段からリスクヘッジについて考えておくことが必要です。

20113月に発生した東日本大震災では、被災地の方たちの生活を一変させることとなり、日本や世界への経済にも大きな打撃を与えることとなりました。そして物流業界も例外ではなく、食料品にガソリンなどの燃料費などの物資を扱うサプライチェーンは分断されることとなり、復旧までは多大な時間を要すという状況に陥ったのです。

東日本大震災が発生したことをきっかけに、様々な分野の多く企業がリスクヘッジについて再検討しなければ…と感じたことでしょう。

では、物流のリスクヘッジについてはどのように考えていけばよいのでしょうか。

リスクヘッジをとりにくい状況を作っていないか

東日本大震災が発生する前は、多くの企業で経費削減を念頭に物流ネットワーク構築を進めていました。

全国各地に設けられていた物流センターは大幅に集約させ、DCと呼ばれる在庫型センターからTC(通過型センター)にシフトするなど、物流を集中させようとする動きが活発になっていたのです。

確かに集中型の物流でれば、コストを削減できる点では大きなメリットとなるでしょう。しかし東日本大震災のときのような有事においては、リスクヘッジをとりにくい状況を作ってしまいます。

集約させた物流センターが停止したとき、バックアップセンターとなる場所がないという状況や、日常使っている配送事業者の代替え業者を準備していないかったことで、物流を停止させることになってしまいました。

そこで考えたいのは、コストを削減しながら最適なリスクヘッジできる体制づくりです。

 

最適なリスクヘッジを可能とする体制とは?

まずは、自社の物流において1つしかないものを洗い出すことが必要になります。

たとえば在庫型物流センターが1か所のみの場合や、契約中の配送事業者が1社のみ、物流システムを稼働させるサーバーや回線なども1つだけなど、1つしかないものは想像していたよりも多いはずです。

もしもモノや機能で1つしかないものがあるのなら、それぞれを補完できる体制を作っておくことが必要となるでしょう。

その上で、万一発生した不測の事態には、どこまで物流機能を保持させることが必要か考えてみましょう。

 

不測の事態で優先させなければいけないことを考える

たとえば毎日配送・店舗には定時に必着ということを守っている機能は、はたして有事のときでも必要なことなのか、発注から店舗に納品するまでのリードタイムは順守しなければならないのか…などです。

そしてリスクヘッジは物流のみで行えばよいのではありませんので、内外の関連する部署などと協議を行いながら、過剰にならない不足の生じないリスクヘッジをまとめていくことが必要になります。