ジャストインタイム生産などで効率化を図る在庫削減などを背景として、サプライチェーンを構成している企業が万一被災してしまったときなどには、サプライチェーン全体にどのような影響があるのか考えておくべきでしょう。
震災や豪雨被害など、災害はいつどこで起きるかわかりませんので、サプライチェーンのリスクマネージメントの重要性を認識し、取り組みを行うことが必要です。
そこで、サプライチェーンの重要な要素の1つともいえるロジスティクス(物流)について考えていきましょう。
自社のリスクマネージメントよりも、サプライチェーン上流に位置する部品や原料のメーカーなどのサプライヤが被災してしまい、操業不可能となったときや中断したときの影響を最小化させることを考える企業も少なくありません。
しかしサプライチェーンはサプライヤのみで構成されているのではなく、たとえば原料メーカーと部品メーカー、部品メーカーと完成品メーカー、メーカーから卸売事業者の間を繋いている物流事業者などが関係します。
サプライチェーンは受注・発注の流れである商流と、部品・製品の流れである物流という2種類の流れで構成されます。
商流だけでなく、物流事業者の物流もリスクマネージメントにおいて検討対象としなければなりませんし、供給責任を果たすために自社からサプライチェーン下流に対するロジスティクスもしっかりと検討しなければならないといえます。
まずは物流の構造、物流事業者のリスクマネージメント体制を把握し、パートナーシップによるリスクマネージメントの実効性を向上させていくという形で段階ごとに実施することがよいでしょう。
協力物流事業者は目標を共有できる体制でパートナーシップを確立させ、目標達成のために協業する姿勢が必要です。
操業中断を引き起こしてしまうリスクはいろいろですが、主に考えられる次のリスクについて体制を整備していくことが重要です。
自然災害は物流網を寸断させてしまう重大なリスクのため、物流事業者側は必要な対策を講じておくことが必要です。荷主企業と物流事業者の協業体制を構築させ、相互の緊急時の連絡方法の確立や合同訓練によって実効性向上を図るといったことも求められます。
倉庫などの物流拠点や本社が被災すれば、操業中断・保管中貨物の損傷に繋がってしまいます。
輸送を集中管理している場合など1つの事業所で操業不可能になれば全体が操業中断という事態に陥りますので、物流事業者側での火災対策をしっかり行っておくことが必要です。
輸送中の車が事故を起こすと、貨物の到着遅延などに繋がってしまいます。
発生頻度の高いリスクのため、製品の品質に対する評価に影響を及ぼすリスクとしてとらえておくべきでしょう。
荷主側は物流事業者に安全運行を妨げてしまう要請をしないよういようにし、安全レベルを一定以上に保つことが重要です。