台風が多く発生する季節では、物流業界でも集荷や配送などに関する業務を停止・遅延することが大手物流会社から発表されることがあります。
各大手メーカーの自社便なども、商品の配送を取りやめるといった動きがみられることもありますが、災害のときにこそ存在の大きさを痛感するのが物流です。
しかしモノを運ぶトラックドライバーの身の安全も確保しなければならないため、リスクの高い状況で業務を行うことはできません。
それでも台風の際、中止の連絡を受けずに運送を続けるドライバーなども存在しています。
台風は事前にその進路などがある程度把握できるため、大手物流会社などは進路に該当する一部地域の集荷や配送を休止・遅延することを事前に発表するといった対応を行います。
各大手メーカーの自社便についても、配送を休止し台風に備えることが多いといえるでしょう。
物流が止まれば国の経済も止まると言われていますが、一部サービス休止により一般家庭だけでなく業界全体に影響を与えるものでもあるため、中小などでは中止にしないという対応を余儀なくされることもあるようです。
トラックは車体の構造上、乗用車以上に横から風を受けやすいため台風などの際には横転するリスクが高いといえます。タンクローリーなどは移送する物が毒物や高圧ガスといった危険物なので、横転事故を起こせばドライバーの生命だけでなく道路使用者も危険にさらすことになってしまうでしょう。
そのため大手物流企業や大手メーカーなどはサービスの一部休止や縮小を決めるようですが、台風でも稼働を命じられる傾向にあるのが中小零細企業のトラックドライバーです。
中小零細の運送業者の場合、仕事は大手運送業者や自社トラックを所持しているメーカー、自社トラックに空きのない同業・同規模の運送会社などが多く、下請け(傭車)としてトラックを走らせます。
傭車は大手などが人手不足解消に使うだけでなく、自社便の運行時間が超過してしまうことで労働法違反やコンプライアンス違反とならないように利用することも多々あります。
しかし傭車に対する扱いは、台風での出庫だけでなく過酷な場合も少なくありません。下請けや孫請けになればなるほど運賃は少なくなり、長時間労働などで労働環境もけっしてよいといえない状況になりやすいといえるでしょう。
突発的に発生する地震と違って、台風はある程度の進路が予測できるなど、事前準備可能な災害です。雨風吹き荒れる中トラックが走らなければならない環境は、物流業界のドライバーに対する安全確保やコンプライアンス意識を改善させなければならない状況にあるといえます。