2018年7月に西日本を襲った記録的な豪雨により、生活インフラに加え工場やオフィスといった地域の経済基盤まで打撃を与えることとなりました。
交通インフラや物流網が水災害により遮断されたことで、被害の範囲も広く復旧まで長い時間がかかったといえます。
日本はこのような自然災害が多く発生する国のため、災害への備えで事業継続する力もだんだんと強化されてきたといえますが、地震被害にばかり気を取られてしまい水災害対策が盲点となっていたともいえるでしょう。
水災害の発生によって工場や店舗が冠水し使用できなくなるといった直接的な被害以外にも、物流網が遮断されたことや断水・停電・通勤困難といったことが重なり、企業は通常業務ができなくなるという事態に陥りました。
たとえばパナソニックなどは業務用ビデオカメラなどの製造を行う岡山市の工場について操業を停止させました。付近を流れている川が氾濫し、建物1階部分は浸水被害に遭ったことで電源設備が使えなくなったのです。
さらにJXTGエネルギーの系列給油所では、40か所において営業停止する事態となりました。
水災害の規模が大きいと、下水道から汚水や泥水があふれ出てそのまま建物になだれ込んでしまうこともあります。
小売店や食品メーカーなどの場合には、洗浄や消毒作業に時間がかかってしまうでしょうし、破裂した水道管や浄水施設の冠水により断水で打撃を受けることとなります。
ヤマト運輸などは西日本の広い範囲において、新規の荷受けを停止されるといった事態にまでなりました。
材料や部品などの調達網が遮断されてしまえば、工場なども操業を停止せざるを得なくなってしまいます。
事業継続計画(BCP)を策定済みの企業は、多くが大企業で中堅企業は約3割程度に限られています。
計画内で想定されているリスクも地震が約9割で、水災害などは約3割にとどまっています。
また、火災や爆発が約6割、今回問題となっている感染症などは約半数であるなど、地震以外にも目を向けなければならないリスクは他にもあると考えておくべきでしょう。
地震対策のBCPは策定していたのに、豪雨については何も用意してなかったという部品メーカーも少なくなかったため、対策したくてもできない事態に追い込まれてしまいました。
しかし近年は集中豪雨など、想定していなかった被害をもたらす自然災害が多発しています。今回の新型コロナウイルス感染症などもその1つです。
企業では地震以外のリスクにも目を向け、災害に備えることが重要であるといえるでしょう。