政権交代がポイントとなったこともある日本の選挙ですが、従来民主党が掲げていたのは高速道路の無料化でした。
高速道路を通行するたびに費用が発生するものが無料になれば、物流業界のコスト削減にも大きく貢献すると考えられます。ただ、無料化になったことで渋滞が起き、物流の遅配などが発生するとも考えられるためドライバーの労働時間が長くなるとも考えられます。
それに加え、交通量増加によりCO2の発生が環境に影響を及ぼすともいえるでしょう。
すでに確立・硬直化したシステムを変えることは、よい面もあれば悪い面もあるため、選挙で伝えられるよい部分の裏に潜む悪い部分も踏まえて判断しなければなりません。
そのような中、2020年8月に国土交通省では、高速道路を利用するトレーラーが積荷を途中で交換可能とする中継拠点を整備することを検討しはじめました。
これは運送ドライバーの長時間運転を抑制することを目的としており、移動する範囲が狭くなれば今問題となっている新型コロナウイルスの感染拡大地域に向かうリスクも軽減させることができます。
後部の荷台部分とけん引する前部ヘッド部分を切り離すことができるトレーラーですが、荷台部分を切り離し取り換えて、再度ヘッドに連結すれば積荷の交換は完了です。
このような方法で積荷を受け渡す中継輸送の拠点としてすでに整備されているのは、浜松市の中日本高速道路にある「コネクトエリア浜松」で、新東名高速道路浜松サービスエリアの近くに整備されています。
仮に関東から関西まで荷物を運ぼうとすると往復で約1200キロという長い道のりを長時間運転し続けることになります。車中泊を含めても、往復で2~3日かけて移動しなければなりません。
しかし関西からのドライバーと荷台部分を交換すれば、その半分の600キロに運転時間を抑えることが可能です。日帰りでも対応できるようになったため、ドライバーの長時間労働削減にもつながっているといえるでしょう。
このような中継拠点が全国に拡大されれば、輸送が効率化されドライバーの負担も軽減されます。現在はコロナ禍により物流需要は増している状況ですが、新型コロナウイルスを県またぎで拡大させることを抑制することにもつながるでしょう。
社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の部会では整備促進策を検討するとしており、SA・PA・給油所などと同じく中継拠点も高速道路の付属施設と位置付けて高速を降りなくても利用可能にするというものです。
ドライバーが車中泊や休憩を取りやすくなるような駐車マスの増設に、シャワー設備の拡充なども検討しているようです。