海の不動産とも呼ばれることのある船舶の登記に関係する業務や、官公署に対する海事法令に関する書類の申請・作成を行う専門家が海事代理士です。
まさに海の司法書士や行政書士と呼ばれる存在ですが、海上運送業や港湾運送業、内航海運業などを行う場合には頼りになる存在といえます。
海事代理士は様々な海の業務に関する許認可の手続きを代行して行ってくれます。具体的には次のとおりです。
フェリー・屋形船・遊覧船・水上タクシー・ホエールウォッチングなどを新規開業する場合や、休廃止手続き、計画変更の他、次のようなその他海上運送業に関連する手続きを行います。
①船舶運航事業…船舶の貸渡や運航の委託を行う船舶貸渡業の他、海上の船舶による物品の運送や船舶の貸渡し、売買もしくは運航の委託媒介を行う事業である海運仲立業
②海運代理店業…船舶運航事業者または船舶貸渡業者の通常の事業に属する取引の代理を行う事業
はしけ船・ろかい船・漁船以外の船舶を使って海上で物品を輸送し、船積地と陸揚地のどちらも日本にある場合を内航運送といいます。
国内貨物の海上運送こそが内航海運ということですが、その登録の他、運賃や料金、運行管理規定の届出などを行います。
荷主や船舶運航業者から委託され、船舶で運送された貨物や船舶で運送される貨物の船積み・陸揚げ・荷さばきなどを行う事業を港湾運送事業といいます。その港湾運送事業の許可の他、運賃や料金の届出、運送約款の認可手続きなどを行います。
なお港湾運送事業は、一般港湾運送・船内荷役・はしけ運送・沿岸荷役・いかだ運送・検数・鑑定・検量という8つの事業に分けることができます。
他にも船舶の登記や登録、検査、トン数測度などに関する申請手続きや書類作成などを行っていますし、船員の雇入や雇止、海技資格・海技免状・操縦免許などの手続きも相談できます。
その他、倉庫業法、貨物運送事業法、遊漁船業に関する登録・届出なども担当するなど、海の物流においては欠かすことのできない存在であるといえるでしょう。