物流・運送業界では、事業者が国土交通省の行政処分を受けること、厚生労働省の監督指導の対象になることはなくさなければなりません。
しかし行政指導を受けることは絶対ないと言い切ることができる事業者のほうが少ないといえます。
それでも行政指導の対象にならないように法令順守を徹底している事業者もありますし、その反面、処分逃れを目的にグループ会社を作る事業者もいます。
そこで、行政処分や監督指導の対象になるのはどのようなケースなのか、対象とされる基準などをご説明します。
国土交通省の行政処分の対象となった事業者情報を検索できるサイトで、令和2年(1~11月まで)に行政処分対象となったトラック運送事業者は6470事業者中、789事業者という結果になりました。
そのうち、許可の取り消し処分となっている事業者は6事業者であるなど、行政処分は年々厳しくなっているといえます。
重い行政処分を受けてしまったときに備え、営業を継続できるようにグループ会社を作るといった事業者もあるようです。
実際、営業不可となった運送会社が別会社を作り営業を続けることは可能であり、処分逃れに該当すると判断されれば行政処分の対象となっても、単にグループ会社だからと処分の対象になるとは限らないようです。
そして車両を移動させるといった実効性が確認されたときには行政処分の対象になったとしても、処分逃れはそれほど多く発生していないとされています。ただ運輸局が全体を確認することは難しく、なぜグループ会社が作られたかまで把握できていないのが理由とも考えられます。
長時間労働などを原因として厚生労働省から監督指導を受ける場合には、グループ会社も同時に監督指導の対象となることが少なくないようです。
必ず立ち入り調査のときにグループ会社も監査するわけではないとしても、調査してみなければわからないと判断されれば調べることになるのでしょう。
一般的には労働基準監督署がグループ会社全体を対象とした情報を入手したとき、監督指導の対象にグループ全体を含むことは考えられるようです。
そのとき入手する情報は、長時間労働だけでなく残業代の未払いなどいろいろで、1事業所だけでなくグループ全体を調査してほしいという情報などもあれば、行政が判断し調査することになるでしょう。