新型コロナウイルス感染拡大の影響は様々な業界に及んでいますが、トラック運送業界の令和2年10月~12月期の景況感はどうなのでしょう。
大企業製造業の景況感を示す、日銀短観12月調査による業況判断指数を見ると、コロナ禍で停滞した経済活動が再開したことをきっかけに、自動車産業を中心に生産も回復したことなどで前回調査した9月よりも17ポイント改善しています。
令和2年10月~12月期のトラック運送業は、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響などもあり、通販需要は拡大しました。その結果、宅配貨物の輸送量・営業収入・営業利益・営業利益といずれも前期同様、大幅に改善されています。
しかし2021年1月に再度、緊急事態宣言が発令されたことや新型コロナウイルス感染拡大により経済活動は低迷しているため、今後は悪化することが見込まれます。
今回の調査によると、運送業界共通の景況感は好転した事業者は11.0%、悪化した事業者は62.1%で回復の兆しが見られます。
実働率や実車率についても改善されており、前回調査より輸送効率は良くなっているといえるでしょう。
しかし採用状況や労働力の不足感は上昇しているため、やはり人手不足の現状は解消されていないといえます。
一般貨物の輸送数量や運賃・料金の水準はいずれも前回調査よりも改善しており、営業収入(売上高)・営業利益もよくなっています。
宅配貨物の輸送数量も改善していますが、運賃・料金の水準は前回調査よりも悪化しているようです。ただ、営業収入(売上高)・営業利益は改善されています。
宅配以外の貨物での運賃・料金の水準は前回調査よりも悪化していますが、輸送数量は改善しているため、営業収入・営業利益でみると改善という結果でした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事が減少し、売上が激減してしまった運送会社にはいくつか共通する部分があります。
まず限られた少数の荷主とのみ取引を行っていること、そして特定の業界に特化した取引を行うなどです。さらに差別化できるような特徴がなく、参入障壁の低い仕事をしており、営業活動を軽視してきた傾向なども見られます。
もちろん1件のみとの取引だけという運送会社や、1つの業界に特化し経営している運送会社すべてが、コロナ禍で仕事を失い売上が低迷しているわけではありません。
そかし他の自然災害などが発生したときには、その影響を受けてしまうリスクも忘れてはいけないといえるでしょう。