台風の時期になると、暴風圏内では強風の影響でトラックの転覆事故が相次いで発生することがあります。
トラック単独の転覆で、ドライバーや周囲にも被害がなければまだよいですが、中には第三者を巻き込むケースもあるため注意が必要です。
単に運転ミスで起こるわけではないため、どのようなときに転覆してしまうのかその理由を把握しておきましょう。
過去にトラックが台風による強風で転覆してしまったという事故の情報を分析すると、共通しているのは車両総重量8トン未満の中型のバン型車両に多く発生していること、さらに橋の上や高架区間など吹きさらしの道路で起きていることです。
車両総重量が8トン未満の中型のバン型車両の場合、後輪は1軸で足回りが軽いため、大きな箱状の荷台が横方向からの風を受けやすいことがその理由といえます。
また、運転席上部に大型の冷凍機を備えていると、重心が高くなってしまうため強風の影響を受けやすくなってしまいます。
空荷の状態のときにはより転覆するリスクが高くなるため、台風の時期には対策が必要です。
車両の重心が低ければ安定しやすく、高いとたとえゆるやかなカーブを低速で走っていても転覆や横転するリスクが高くなると認識しておくべきでしょう。
橋の上や高架区間などは風を遮るものが少ないため、車両の下方向から吹き上げるような強風が発生しやすくなります。そのため、台風など強風のときには転覆してしまう可能性が極めて高くなる危険な場所ですので注意してください。
コンテナや積荷の総重量は計算可能でも、重心の位置まではわからないことが多いでしょう。
しかし車の重心の位置が確認できて、カーブの半径がわかれば通常であれば横転しない速度の計算はできます。
たとえば大型船の場合、出航前には必ず船の重心位置を計算しますが、船の設計図に積荷の重さや位置を足して算出します。重心の位置からどのくらいの揺れであれば耐えることができるか計算することが必要だからです。
揺れから重心を計算できるため、大型トラックにセンサなどを設置し、走行しているときの揺れを感知して重心の位置を計算と、横転の危険度を推測できます。
ただしこれは通常運転のときの横転を防ぐ上での方法であり、台風で強風が吹いているときの転覆には対応できないため、目安として把握しておくことをおすすめします。
道路や車両の特性などを踏まえ、暴風警報発令中のエリアや強風のときには運行を中断するといった対応も必要です。
また、危険を回避するために安全が確保できる場所にトラックを一時避難させるといった指示を出すことも運行管理上求められます。