運送業でも特に注意しなければならないのが、野菜など農産物を運ぶときです。
農産物は非常に繊細で、環境変化に敏感なためただ単に運んで届ければよいという考えで扱うことはできません。
それぞれの野菜や作物の特性・弱点を把握した上で、温度管理や積載方法などを万全な状態にしておくことが必要です。
生産者から預かる大切な収穫物であり消費者が口にするものなので、そのバトンを丁寧・迅速に受取らなければならないと留意しておくべきでしょう。
野菜を運ぶときには、まず温度管理が重要となります。
一般的に葉物野菜や牛蒡などの根野菜は3℃前後で、キュウリやトマトなど果菜類は7℃前後で運ぶことが必要であり、他にも野菜の種類により適度とされる温度は変わってきます。
仮に設定温度より冷やし過ぎてしまったときには、野菜が冷凍焼けで商品として使えなくなってしまったり、品質を低下させてしまったりといったリスクが発生することになります。
野菜を車両のどこに積載するのか、その場所にも配慮が必要です。
野菜は湿度に大きな影響を受けてしまうことが多いので、中でも乾燥に弱いものには注意しなければなりません。
冷凍機から吹き出す冷気に直接野菜があたれば乾燥してしまうため、冷気があたらない工夫が必要です。
たとえば冷凍機の吹き出し口の前は積み上げを低くしたり、毛布やシートで保護したりといった対応を検討しましょう。
野菜を運ぶときには、一緒に運送してもよい野菜など、野菜同士の相性にも注意してください。
野菜の種類により適温は異なりますが、実は野菜同士にも相性の良し悪しがあります。
たとえばリンゴは野菜の成熟を促進させるエチレンガスを多く発生させるため、ジャガイモとは相性が良いですが、トマトとは相性が悪いといわれています。
リンゴと一緒に野菜を積むと、商品として劣化したり微生物が繁殖したり、カビや腐食を発生させる原因になると認識しておきましょう。
野菜や果物のうち、特にリンゴはエチレンガスを発生させるといわれているため、新鮮な状態のままで野菜を届けることができるよう、相性のよい野菜か確認が必要です。
また、段ボール製品が多いため取り扱いには十分注意が必ようであり、野菜によっては積載の際に立てて輸配送するといった配慮も必要となります。
野菜類は生き物と考え、特有の難しさが輸配送の注意につながっていると理解しておきましょう。