貨物自動車運送事業者が運送事故の要因となる交通事故などを起こしてしまったときには、事故相手や巻き込んでしまった人の救護や警察へ連絡することはもちろん、いろいろなことをやらなければならなりません。
運送業者が事故発生後に行うことは、その事故の重大さにより変わりますが、主に次のようなことが挙げられます。
構内で起きた軽い物損事故や、警察を呼ぶほどの大きな事故に関係なく、「事故の記録」の作成は必須です。
記載する事故記録の項目は、
・乗務員の氏名
・事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
・事故の発生日時
・事故の発生場所
・事故の当事者(乗務員を除く。)の氏名
・事故の概要(損害の程度を含む。)
・事故の原因
・再発防止対策
などです。
自動車の転覆・転落・火災などによる事故や鉄道車両との接触・衝突、10台以上の自動車の衝突・接触、死者・重傷者が出た事故などは、30日以内に運輸支局に事故報告書を提出しなければなりません。
死者や重傷者を出してしまった事故や、自動車に積載されたもののすべてまたは一部が飛散した事故などは、24時間以内に運輸支局に電話やFAXなどで速報を提出しなければなりません。
特定の事故を起こしたトラックドライバーは特定診断を受けることが必要ですが、過去の事故の有無で診断コースは変わります。
特定診断を受診するまで再度運転はできず、運転者台帳にも実施日を記載することが必要です。
特定診断Ⅰ(2時間)の対象となるのは、
①死亡またはは重傷事故を起こし、当該事故前の1年間に事故を起こしたことがない場合
②軽傷事故を起こし、当該事故前の3年間に事故を起こしたことがある場合
の方です。
特定診断Ⅱ(5時間)の対象者は、
死亡または重傷事故を起こし、当該事故前の1年間に事故を起こした方です。
死者または負傷者が発生した事故を起こしたドライバーは特別な、社内でもよいので次の指導を受けることが必要です。
・事業用自動車の運行の安全確保に関する法令などの再確認
・交通事故の事例の分析に基づいた再発防止策の指導
・交通事故に関わる運転者の生理的・心理的要因・これらへの対処方法の指導
・交通事故を防止するため留意するべき事項の指導
・危険予測および回避の指導
また、安全運転の実技の指導も必要です。
実施した特別な指導は記録し、3年間保存することが必要になり、運転者台帳にも実施日を記載しておくことが求められています。