トラック運送業を営むときには、法令順守はもちろんのこと、ドライバーの安全や健康を守ることを徹底して行う必要があります。
しかし中には行政処分となる運送会社などもありますが、どのようなことに違反したときにその対象となるのでしょう。
そこで、運送会社の行政処分と、どのような違反行為が対象となるのかご説明します。
運送会社に対する監査は、国土交通省の「自動車運送事業等監査規則」と「自動車運送事業の監査方針について」に基づき実施されます。
監査にも種類があり、重大な死亡事故などが起きたときの「特別監査」もあれば、通報や内部告発などで法令違反が疑われるときの「巡回監査」、他にも管轄する運輸局に出向き実態を報告しなければならない「呼び出し監査」などがあります。
運送会社に対する行政処分は、
車両使用停止
事業停止
許可取消
の3種類です。
監査により法令違反が確認されれば、その程度や違反の内容によりいずれかの処分が科せられます。
点呼の一部が実施されていなかったときや、運転適性診断を実施していなかったとき、帳簿類などの改ざんがあったときに対象となる行政処分です。
一定期間は運輸局に緑ナンバーを返納することになり、その期間中は業務できません。
使用停止になる車両台数が営業所に配置されている車両数により決まることも注意しておきましょう。
仮に61両~100両を所属する営業所の場合で、処分が30日車までなら1両、31~60日車なら3両、61~100日車で5両となります。101~300日車は8両となり、301日車以上は10両と決められています。
悪質な違反行為や重大な違反行為があったときに対象となる行政処分です。
運送管理者や整備管理者を選任していなかったときや、すべての運転者に点呼を行っていないとき、すべての車両に定期点検整備を行っていないなどが対象となります。
営業所単位で運送業を営むことができなくなりますが、違反点数が51~80点に達すると営業所管轄区域内の全営業所が事業停止の対象となってしまいます。
運送業の許可が取り消されてしまうため、二度と事業を営むことはできない最も重い行政処分です。
過去2年間において事業停止処分を受けており、一定の違反点数以上に該当する違反行為を行ったときなどは許可が取り消されます。
・累積点数が30点以下で270日車以上の処分を受けた
・累積点数が31点以上で180日車以上の処分を受けた
・累積点数が51点以上になった
という場合には許可取消の対象です。
また、同じ運輸局管轄区域内の営業所の違反点数の合計が81点以上になったときも対象となりますし、3年以内に事業停止処分を再度受けたという再違反に対しても許可取消となることがあります。