運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業は安全配慮義務違反にならないために管理を徹底することが必要

2021.11.17
分類:リスク

運送業で労災事故が発生することは避けなければなりませんが、もし事故が発生したときには安全配慮義務違反や賠償責任を問われることもあります。

そこで、ドライバーを雇用する使用者にはどのような責任があるのか、荷主から預かった貨物に損害を与えたときには誰が責任を取るのかなど確認しておきましょう。

運送業の安全配慮義務とは

新型コロナウイルス感染症が流行したことで、ECサイト市場は拡大し、運送業のニーズも一気に高まりました。

しかし忙しさのあまり、労働環境が悪化してしまう運送業を懸念する声も多く、安全配慮義務や賠償の責任などについて把握しておく必要があるでしょう。

まず運送業は貨物の輸送がメインの仕事なので、輸送中に事故を起こさないことが大切ですが、車両に起因する事故と運転者に起因する事故に分けて対策が必要です。

車両に起因する事故の場合、定期的な点検や整備などを行っていないか、適切な管理体制が重要となります。

特に運送業は所有する車両台数も多い上に、移動する距離も長くなるため安全配慮義務は徹底して守るようにしましょう。

運転者に起因する事故が起きてしまうのは、過労が蓄積されたことによるものが多く、健康管理などを注意して行うことが必要です。

さらに安全教育を怠ったことで事故が起きれば、会社は使用者としての責任を果たしていないとみなされ、安全配慮義務違反を問われることになるでしょう。

 

預かった貨物の事故に対する責任

輸送中に車両事故が発生し、預かった貨物が損壊することや、一時的に荷物を倉庫で保管中に火災が発生し焼失するなど、貨物の事故に対しての責任についても考えるべきです。

他にも紛失や盗難などの事故に遭う可能性もありますし、荷物を引き渡した後でも運送業者の賠償責任が問われることもあります。

運送業の安全配慮義務や賠償責任は引き渡しによりなくなるわけではなく、たとえばクール便など生鮮食品では管理責任も発生します。

仮に運送業者の管理に問題があったため、食中毒などが発生すれば損害を賠償しなければならなくなるでしょう。

 

安全運転を遵守することが大切

過去には観光バスのドライバーが居眠り運転をしてしまい、乗客に被害を及ぼした事故などもあります。

居眠り運転をしてしまったのは重労働が重なり、十分に疲れが取れていなかったことなどが関係しています。

もし乗客の契約先が旅行代理店だったとしても、事故を起こしたのはバス会社のドライバーなので、バス会社に損害賠償責任が発生すると考えられます。

そのため安全運転を遵守するコンプライアンスを徹底するようにしてください。