運送業で働きたいという方がいても、特定の持病など病気によってはドライバーとして働いてもらうことはできません。
運送会社はドライバーを雇用するときには、体調管理をしっかり把握しておくことが必要であり、抱える病気についても知っておく必要があります。
運転を控えてもらわなければならない病気を抱えているときには、運転免許を取得するときや更新するときにも申告が必要となっています。
運転が禁止されているのは、主に次のような病気です。
・てんかん…発作が再発するおそれがないものや、発作が再発しても意識障害や運動障害のないもの、発作が睡眠中に限って再発するものは除く
・再発性の失神…脳全体の虚血で一過性の意識障害をもたらす病気で、発作が再発するおそれがある場合
・無自覚性の低血糖症…人為的に血糖を調節可能なケースは除く
・躁うつ病(躁病・うつ病)…安全運転に必要な認知・予測・判断・操作のいずれかの能力を欠くおそれがある症状を呈しないものは除く
・その他疾患…重度の眠気症状を呈する睡眠障害・統合失調症・認知症
運転に支障をきたす病気について、道路交通法施行令第33条に記されているのは、幻覚症状を伴う精神病・発作で意識障害または運動障害をもたらす病気などです。
自動車を安全運転できないおそれがある病気を対象としており、先に述べた持病を持つ方は運転が禁止されています。
免許を取得するときや更新するときなど、病気を抱えているのにそのことを隠し、虚偽の申請をしたときには1年以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。
道路交通法が改正されたことで、病気の症状がある患者を診察した医師の任意により、患者の診断結果を公安委員会に届出することも可能となりました。
そのため虚偽の申請をしても、医師の守秘義務違反の例外措置となる法的整備もされているため、後に発覚する可能性もあると理解しておくべきです。
さらに交通事故など起こした運転者が一定の病気に該当することが疑われるときには、専門医の診断による取消処分を待たなくても、免許停止措置が可能となっています。
点呼のときにドライバーの健康状態を確認するときには、
・ドライバーに対し至近距離から異常の有無を確認すること
・必ず声かけをし、健康状態の悪さが声に兆候としてあらわれていないか、喋り方など確認すること
の2点を判断目安としましょう。