運送会社が新たに人を雇用するとき、採用者に対し「身元保証書」「誓約書」の提出を求めることもあります。
しかし採用者の中には、親などがすでに他界していたり配偶者に収入がなかったりなど、身元保証人になってもらえる人が見つからないといったケースもあるようです。
その場合、運送会社としてはどのような対応が必要になるのか説明していきます。
運送会社が採用者に対し、「身元保証」を求める背景には次のことが理由として挙げられます。
・入社する方が職場で他の従業員と協調性を持ちつつ働くことや、トラブルなど起こすことなく働くことのできることについて、第三者から保証してもらうため
・入社する方が会社に何らかの損害を与えた場合、本人に代わって賠償することを約束してもらうこと
「身元保証書」に損害賠償責任についての記載があると、そこばかり気になるものでしょう。
しかし実際には、今働いている従業員との協調性や円滑なコミュニケーションを取れるかなどのほうが重要視されます。
面談や本人の経歴などにより、身元保証書がなくてもよいと会社が判断すれば、身元保証人は不要とする会社もあるようです。
そのため事情により身元保証人が見つからない場合でも、すぐに内定が取り消しになるわけではないため、会社に事情を説明し相談してみることをオススメします。
「誓約書」は「身元保証書」とは目的が異なり、入社する本人が就業規則に同意したのか確認するためのものです。
内容は会社により異なるものの、
・会社の営業秘密など第三者に漏洩させないこと
・業務上の理由で得た個人情報を第三者に提供することもあることへの同意を得る
といった目的も含まれます。
身元保証書の提出は義務ではないため、要・不要の判断は会社ごとに行うとよいでしょう。
仮に損害賠償が認められる場合でも、過去の裁判で身元保証人に課せられる負担は金額が限定されることが多く、実際の損害額の1~3割程度に限られています。
2020年4月以降の身元保証契約については、身元保証人の賠償責任について上限を定めることが必要とされており、仮に限度を定めていないときには身元保証契約そのものが無効の扱いになります。
身元保証人の責任範囲は今後も限定されていくことが予想されるため、その点を留意した上で求めるようにしてください。