2019年4月、労働基準法改正により、中小企業の時間外労働は年720時間が上限となりました。
運送業のドライバーでも無視できない法改正のため、もしも上限を超えた残業時間が発生したときにはどのようなリスクが発生するのか、確認しておきましょう。
人材不足や長時間労働が状態化している運送業のドライバーなどは、2024年4月から労働基準法改正による時間外労働の上限が適用されます。
それにより法定労働時間+年960時間までが上限となりますが、1か月あたりの残業時間が45時間を超えてよいのは1年6か月までという規定は適用されません。
もしも運送業で法律を無視し、労働時間の上限を超えて従業員を働かせたときには、主に次のようなリスクが高くなります。
時間外労働の上限を超えて従業員を働かせると、長時間労働により疲労が溜まり、過労死が増えることとなるでしょう。
従業員の過労死が発生すれば従業員の遺族に訴えられる可能性もあり、労災認定されれば金銭的補償も必要となります。
過労死リスクを避けるためにも、厚生労働省が公表している「改善基準」と、「脳・心臓疾患の労災認定」の「過労死ライン」を考慮した労働時間設定が必要です。
過労死が発生しやすくなるのは、1か月の残業時間が100時間を超える場合、または2か月連続で残業時間80時間を超える場合です。
長時間労働が常態化することにより、従業員の心身は休まらず、常に大きな負担がかかった状態となります。
長距離輸送などが多いと、輸送中に労災事故が起きてしまうリスクは高くなるでしょう。
ドライバーの事故では業務上過失致死傷罪など、刑事責任を問われてしまう可能性もあるため注意してください。
運送業で働くドライバーなどの権利意識も高まりつつあり、残業代未払いや時間外労働の長期化など問題視されています。
労働時間上限を大幅に超過していることが明確になれば、「ブラック企業」という烙印を抑えることとなり、労使間でトラブルも起きやすくなるでしょう。
さらに人手不足を解消しようと、募集をかけても人は集まりにくくなります。
常態化した長時間労働で労働基準法や労働安全衛生法に違反しているとき、もし従業員が労働基準監督署に訴えれば行政責任を問われるリスクも発生します。