化学品・危険物の荷姿は特殊なため、輸送の際の積載効率には大きく影響します。
さらに化学品・危険物の輸送・保管・荷役には、常温一般品と異なる「特殊技能」や「経験」が必要となります。
そこで、運送会社が知っておきたい化学品を輸送するときのポイントや課題について説明していきます。
化学品など特殊なものの運送については、具体的に次のような課題を早期解決することが求められます。
・特殊品・特殊技能を必要とする輸送業務の継続は難しい
・委託先の物流企業任せで危険物倉庫の指定数量がこえてしまう
・危険物の充填・補充の際に立会いしないといったコンプライアンス違反が発生しやすい
・商習慣の一環で棚への格納をドライバーの付帯作業とされやすい
化学品として扱われるものは、洗剤や化粧品などのように消費財も含まれるものの、基礎化学品や中間化学品など中間投入財が主となります。
化学品そのものに中間投入される割合が高く、化学品業界で複数の段階に渡って分業されます。
特殊な取り扱いを必要とする製品や原材料が多くなれば、充填される機器も一般流通している段ボールではないことがほとんどです。
たとえば固体物なら紙袋や専用コンテナ、危険物の多くを占める乙種第四類の危険物液体物はドラム缶・一斗缶・ファイバードラムなどに充填されます。
本来、化学品輸送では厳密な品質・温度管理を徹底し、偽薬流入や盗難などを防ぐセキュリティ対策が求められます。
そのため化学品輸送では、環境・動植物・人体などに影響を及ぼす物質が含まれていないかなど、輸出入を行うときにさまざまな手続が必要となるほど厳重に管理されます。
化学品や危険物の物流では、委託している物流企業以外に化学品取り扱いに精通する業者を知らないことも多く、同じ物流企業に依存しやすくなることが課題とされています。
また、現在契約している物流企業の属人業務となれば、価格は高いのに品質は担保されないといった問題も起きてしまいます。
委託している物流企業を変えたくても、先に述べた通り他の業者を知らないため変更できない状態が続きます。
そもそも現場に化学品・危険物の資格や技術を有する人材がおらず、危険物を積下すときには立会いが必要となるものの、商習慣や古い付き合いなどで立会いしていないといったケースもめずらしくありません。