製造工場で作られた「産業ガス」は、ガス体または液体として容器に詰めます。
気体なら高圧に圧縮され「高圧ガス容器」に詰めることとなり、液体は「超低温容器」に詰められることがほとんどです。
これらを「高圧ガス」といいますが、具体的にはガス体なら1MPa以上、液体は0.2MPa以上の圧力で存在するガスであり、「高圧ガス保安法」の規制を受けます。
高圧ガスは車で輸送されますが、どのように運ばれていくことになるのか説明します。
高圧ガスを移動(輸送)するときには「高圧ガス保安法」による規制を受けます。
「移動」とは次のようなケースです。
・導管での移動
・車両に固定した容器での移動
・車両に積載した容器での移動
・車両以外での移動
高圧ガス保安法では、これらの移動に関し、車両への積載や移動方法、容器に関して保安上必要となる措置など基準が示されています。
さらに「高圧ガス保安協会」や、都道府県などが定めている基準などで高圧ガス移動に関する規制がされており、「道路交通法」や「道路運送車両法」などの安全運転に関する基準も守らなければなりません。
高圧ガスの輸送を行う車両は、
・トラック
・ローリ
・コンテナ車
・トレーラ
の4つです。
ごく少量のガスを運ぶときには適用が除外されることもありますが、通常であれば高圧ガスを運搬できるのは法令に基づき仕立てた専用車となります。
高圧ガスを輸送する専用車両には、車両前後に「高圧ガス」の文字を記載した警戒標識をつけておかなければ法律違反となるため注意してください。
高圧ガス輸送車両には法規制が設けられており、一般貨物を運ぶよりも厳しい条件をクリアしなければなりません。
主な規制として、次のことが挙げられます。
高圧ガス(酸素などの支燃性ガ・LPガスや溶解アセチレンなどの可燃性ガス)や毒性ガスを積む車両のドライバーは「イエローカード」と呼ばれる書面を携行しなければなりません。
万一、高圧ガス容器が事故などで破損したときやバルブが緩み中のガスが漏れてしまったときの対策として、「消火器」や「防災機材」などを車に装備することが必要です。
トラックに高圧ガスの容器を積むときには、酸素・窒素・アルゴンなど一般ガスは容器を縦積みまたは横積みにし、溶アセチレンは容器を縦積みにしてください。
荷崩れなど起きないよう、しっかりとロープで固定することも必要です。
毒性ガスの容器はパッキンまたは木枠を使用し、可燃性ガスと酸素の容器を混載するときにはバルブが向き合わないようにすることも必要となります。
容器バルブの保護のため、保護キャップを必ず取り付けること、車上の容器の温度は常に40℃以下になる対策も行いましょう。