パソコンやスマートフォンを使って、自宅で簡単に買い物を楽しむことができるインターネット通販は人々の生活に身近な存在となり、利用する方も増え続けています。
ただ、このインターネット通販は注文から配送までとても複雑な配送網で結ばれており、倉庫という拠点が重要なのでここがダメになってしまうと物流の流れはすべて止まってしまいます。
そのような中で、大手通販企業を襲った物流センターの火災・爆発事故を覚えているでしょうか。2017年02月におきたのが、オフィス用品や文房具などを取り扱うアスクルの物流センターの火災事故です。
アスクル西側3軒7名には避難勧告が発令され公民館などに避難する事故だったわけですが、この物流センターは約202億円もかけ購入・整備した大規模な物流拠点だったそうです。
1階部分は使用済み段ボール置き場となっていましたが、ここから火災が発生し、延べ床面積約7万平方メートルのうち約4万5千平方メートルが焼け落ち、全焼しました。
爆発が100回くらい起き、ダンプカーほどの大きさの渦の煙が発生し、外に置いていたものは煤で黒く汚れたと話す近隣の方もいたようです。
物流センターには文具だけを保管していたわけではなく、個人の顧客に向けた生活用品なども保管されていたようで、その中でも大量に保管していたスプレー缶に引火したことが火災の規模を拡大させてしまったと考えられます。
鎮火が進まなかった理由は消火を遮る外壁で、2階部分には窓が少なく開口部が小さかったので、消火作業が遅延してしまいました。
大型重機で数か所の開口部を設けて高圧放水をしたものの、あまりの濃煙と熱気で中の状況も判明できない状態だったようです。
火災がおさまったのは出火から丸6日が経過し、ほとんどすべての荷物を焼き尽くした後だったとのこと。ここまで消火が難航したのは消防隊の能力を超えた火災だったことが原因とされています。
そして倉庫の構造の問題上、スプリンクラーは設置していたものの、70度を超える温度を感知しなければ作動しない仕組みになっていたことも関係しています。倉庫は天井が高く設置されているので、スプリンクラーが作動するよりも前に延焼してしまったのです。
迅速な配送を実現しようと物流センターに集約してしまったことで起きた悲劇といえます。同じ悲劇を繰り返さないためにも、商品を保管することだけにとらわれるのではなく、万一事故が起きたときの対策を講じておくことも重要です。