運送会社は基本的には倉庫などを持つことはなく、トラックなどで物を運ぶことを業務としています。
それに対し、物流会社は物の流れを司る会社といえます。物を預かり、倉庫に保管し、オーダーに応じてピッキング作業を行って指定された時間までに納品先にその品を届けることを業務とします。
物流会社は商品の保管、梱包、加工、荷役、運送などまで広く対応することとなりますが、具体的に次のような業務を行います。
・保管 商品や原料を物流倉庫へ保管
・加工 ラベル貼りや箱詰めなど加工
・荷役 出荷指示に応じた商品のピッキング
・梱包 ピッキングした商品を段ボールなどに入れて包装
・運送 梱包した商品を運ぶ
・情報処理 在庫や配送状況の情報を管理・提供
など、商品を移動させる上での色々な工程が物流会社の業務として挙げられます。
物流業界で運送は大きな役割を担いますが、運送だけが必要というわけではありません。
保管や梱包など、モノが運ばれるまでには様々な工程が存在しますが、運送会社が対応するのはモノを運ぶという運送業務のみです。
物流会社より対応する範囲が狭いことが特徴ですが、このことから物流会社は運送会社でもあるのに対し、運送会社は物流会社ではないといえます。
仮に運送会社がモノを運ぶ運送業務以外に、保管や梱包などの業務も行うことになれば、物流会社に変化したといえるでしょう。
生産者から消費者にモノが受け渡されるまでの一連の流れを流通といいますが、流通には所有権の流れを指す商流、そして商品自体を消費者に届ける物流で構成されます。運送は物流の一部であり、物流は流通の一部であるのです。
運送会社と物流会社は行う業務や機能などが異なるだけでなく、実は運賃削減を決定できるのが物流会社で、そうでないのが運送会社とも考えられています。
物流会社なら荷主に儲けてもらえることを優先し、荷主が抱える問題点を検討した上でコストを削減する提案が可能であるのに対し、運賃の変動に一喜一憂しなければならないのが運送会社なのです。
運送会社は運賃を最優先に考えてしまいがちですが、物流会社のように物流コストを考える姿勢も必要といえます。
ただ、現在、運送会社も物流会社も人手が不足しており、物流会社よりも規模が小さくなる運送会社で実現させることは難しいのが現状です。