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運送契約は「請負」が基本!注意したい「偽装請負」に該当してしまうケースとは

2022.06.23
分類:その他

「運送契約」は、運送人がモノまたは人の場所を移動させることを約し、依頼人がそれに対する報酬(運送賃)を支払うことを成立させるための契約です。

運送という仕事を完成させることを目的としており、結果に対する報酬が支払われるため「請負」による契約に属します。

「請負」では、注文者の要望に従い請負人(受注者)自らの裁量と責任で自己が雇用する労働者を使用し、仕事を完成させるための製品納入や役務処理を完了させます。

労働者に対する労働契約関係や指揮命令は請負人が行うものの、請負業務遂行場所での管理上の指示は注文者が行うことになりますが、注意したいのは「偽装請負」に該当してしまうケースです。

そこで、運送業が注意しておきたい「偽装請負」に該当する行為について説明していきます。

請負契約ではなく偽装請負とみなされる違法行為とは

注文者と請負人との間で「請負契約」を締結し、請負人と雇用契約を結んでいる「労働者」を、注文者の業務に従事させる「三者間契約」の場合、従業員の労働者としての問題は回避できるように考える方もいることでしょう。

しかしこのような三者間契約では、従業員の労働者としての問題は回避できたとしても、実質、「労働者派遣事業」と「労働者派遣法」で違法とされる可能性があります。

 

留意しておきたい「請負」と「派遣」の違い

「請負」とは、「派遣」と違って注文者と労働者間で「指揮命令」の関係はなく、「労働者派遣法」の規制は受けません。

労働者の安全衛生確保や労働時間管理などに関し「請負」と「派遣」では、雇用主である「派遣元事業主」「請負事業者」「派遣先」「注文主」がそれぞれ負うべき責任も異なります。

そのため業務遂行の方法は「請負」と「派遣」か請負か明確にすることが必要であり、方法に応じた安全衛生対策や労働時間管理の適正化を図ることが求められます。

どちらに該当するかは契約形式ではなく、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」に基づいた実態に即する判断がされますので、「偽装請負」に該当しないように注意してください。

 

偽装請負に該当するケース

「偽装請負」とは、契約形式は請負契約や業務委託契約であるものの、実態は注文者が請負人労働者を直接指揮・監督する労働者派遣のことです。

請負形式で契約していても労働者派遣と判断されれば、労働者派遣法における派遣元と派遣先と同じ責任分担になるため注意しましょう。