従来までの荷主とは、貨物の所有権を問わずに輸送の方法など決定する事業者でした。
荷物を発送するのは発荷主で、受領するのが着荷主であり、物流プロセスの主体として効率的な運送・配送を実現する上での色々な役割を果たします。
しかし荷主の定義も変更されているため、物流業界における荷主と準荷主の違いや、定義と責任について紹介していきます。
荷主とは輸送の方法などを決定する事業者ですが、以下の2つに分けることができます。
荷主
準荷主
それぞれ説明します。
資源エネルギー庁が定義する荷主とは、「自らの事業において継続的に貨物輸送事業者に貨物を輸送させる者」です。
荷送側と荷受側で荷主が異なるケースもありますが、この場合は荷送側が「発荷主」となり、荷受側を「着荷主」と呼びます。
同じく資源エネルギー庁では、準荷主について「自らの事業において継続的に貨物輸送事業者に貨物を受け取りまたは引き渡す者であり、受け取りまたは引き渡しの日時やその他の事項について指示できる者」と定義しています。
荷主と輸送業者間で引き渡し日時や場所に関して、一定の幅が許容されている場合は、具体的な時間や場所を指定する事業者を準荷主とします。
荷主は貨物の所有者のことですが、省エネ法が改正されたことで、貨物の所有権に関係なく輸送方法を決定する事業者を荷主と呼びます。
ECサイトが拡大したことで小口配送や再配達が増え、ネット小売事業者も省エネ法の対象となっています。
さらに法改正に伴って、国からネット小売事業者に省エネ法の協力要請ができるようになったため、ネット小売事業者も荷主となり包装材の軽量化や小型化などを進めていくことが求められています。
なお、貨物輸送事業者と契約や取引がなく、輸送方法は決めていない事業者や消費者間を仲介する事業者の場合、荷主の対象外となります。
2024年問題は、荷主にも影響を及ぼします。
ドライバーの長時間運転や時間外労働に関する規制ですが、荷主の関与が明らかな場合、荷主勧告制度に沿った社名公表なども行われるかもしれません。
荷主もドライバーの労働時間のルールを把握し、時間外労働を減らす配慮が求められます。
従来までの安い料金のままで契約を押し付けることや、待機料金を支払わないなどの問題についても、パワハラとみなされれば法的手続につながる恐れがあるため注意してください。