
運送業界における政府の施策は、以前問題視されていた2024年問題への対応と、物流効率化と持続可能性向上を目的とした内容です。
労働時間規制強化に荷待ち時間と荷役時間の短縮、再配達削減と人手不足解消などに関する支援などを実施します。
そこで、運送業における政府の施策について、物流革新と取り組みを紹介します。
2024年4月1日、運送・物流業界も時間外労働を年960時間までとする上限規制が適用されました。
改善基準告示の見直しもあり、拘束時間も改正されています。
労働時間の規制が強化される動きに加えて、以前から問題視されている人材不足や既存のドライバーの高齢化など、対応するべき輸送能力不足で物流停滞が懸念されています。
これらの問題が運送・物流における「2024年問題」であり、政府は解決に向けて「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を発足しました。
荷主・運送会社・一般消費者が協力し合って物流を支えるために策定されたのが、2023年6月の「物流革新に向けた政策パッケージ」です。
このパッケージでは、以下に関する抜本的で総合的な対策の策定がなされています。
・商慣行の見直し
・物流の効率化
・荷主・消費者の行動変容
このうち、商慣行の見直しについては、荷主と運送会社の双方で、非効率な商慣行を見直すための項目が含まれています。
荷待ち時間や荷役時間の削減など、物流付加の軽減や、多重下請構造是正など、規制的な措置を導入するための取り組みも含まれます。
さらに、トラックの標準的な運賃制度を徹底し、今後、拡充するための標準運送約款や標準的運賃の見直しに関しても記載があります。
2つ目の物流の効率化は、物流業のDXまたはGXや、新技術活用のもとハードとソフトの両面において物流効率化に向けた施策が示されています。
3つ目の荷主・消費者の行動変容は、荷主と消費者の意識改革や行動変容に向けて、広報活動以外にも新しい仕組みを導入することを含めた項目の記載があります。
パッケージに基づく施策の一環として、発荷主・着荷主・運送会社(物流会社)が早急に取り組むべき事項を、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」で取りまとめています。
このガイドラインでは、発荷主と着荷主に、荷待ちや荷役でかかる時間を2時間以内にすることと、すでに2時間以内の場合は1時間以内を目標にするなど、時間短縮に努めることへの記載があります。
また、物流負担になりやすい商慣行を是正し、運送契約を適正化することも定めています。