安倍晋三総理大臣が第2次安倍内閣で掲げた経済政策の通称「アベノミクス」。
その内容は、大胆な金融政策・機動的な財政政策・成長戦略という3本の矢からなり、物価が低下するデフレ脱却と経済成長を持続させることを目指しました。
では実際、アベノミクスは物流業界にどのような影響を与えたのか、今起きている新型コロナウイルスの影響も踏まえご説明します。
帝国データバンクが2013年6月に発表した「アベノミクスに対する企業の意識調査」では、運輸・倉庫業界では感触の低さが浮き彫りとなりました。
景気はアベノミクスで押し上げられているかという問いに対し、運輸・倉庫業界では「感じている」と答えた方と「感じていない」と答えた方が30~40%ずつで、あとはどちらともいえない・分からないと答えていました。
アベノミクスの効果を感じられていたのは3割4割程度だったわけですが、これに対し不動産業界やサービス業、建設業界では半数ほどがアベノミクス効果を感じていたようです。
運輸・倉庫業界が自社の業績に影響があったかという問いにも、半数以上がこれまでと変わらないと答えており、プラスの影響があったと答えたのは2割にも満たない状況でした。
そのため物流業界にアベノミクスの影響がよい方向に動いたとはいえないかもしれません。
それに加え、2020年4月、都心部で新型コロナウイルスの感染者が一気に急増してしまい、
休業やリモートワークが増えた一般消費者がモノを買い占めるようになり、各地でモノの不足などを訴えるようになりました。
マスクはどこにも販売されておらず、衛生用品やペーパー類、アルコールスプレー類なども陳列棚にはない状況です。
飲料水やレトルト食品、インスタント麺なども品切れが続出するなど、一部のデマ報道なども手伝うこととなり様々なモノが不足することとなりました。
店に買いにいっても売っていないことや、外出自粛などを強いられることとなったことで、ネットスーパーも活況となっています。
それにより、いつもより配送トラックの稼働は増し、大量発注で荷受作業は混雑、物流センターはトラックが数時間待ちといった事態を発生させてしまいました。
しかし現在、トラックドライバーは高齢化が進んでいるだけでなく、慢性的な人手不足に悩まされています。
それに加え物流業界への負担は大きくなっている状況ですが、今後、長期的な経済悪化などでどのような状況となるのか予測がつきません。
日本発着の航空会社は減少すれば運賃は高騰し、パンデミックの際の輸送断裂やトラッキングなど、今物流業界は様々な課題に直面している状況なのです。
アベノミクスによる影響や恩恵を受けることができていたとしても、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で今後どのような状況になるのか不安視されているといえます。