電車など貨物輸送の一部を使った物流が近年注目されています。トラックから鉄道に切り替えを行うモーダルシフトがその例ですが、実際、JR貨物の鉄道事業は慢性的な赤字続きだったものが2017年3月期決算でなんと24年ぶりに黒字転換したほどです。
そこで、モーダルシフトとは何なのかよくわからないという方のために、その内容をご紹介します。
モーダルシフトとは、トラックで輸送する貨物を、大量に運ぶことができる海運や鉄道へ転換することです。
トラックから排出されるCO2を削減するなど、地球温暖化対策として検討されたことがきっかけの取り組みですが、トラックドライバーが不足している物流業界への対策に注目されるようになりました。
日本で鉄道輸送の担い手であるJR貨物。日本全国で約8千キロという鉄道網を保有しており、約600本という貨物列車が日々運行されています。
貨物輸送に欠かせないコンテナの保有数は約7万個であるのに加え、定時発着率も95%と高い割合です。
業界における荷主企業が期待している安定輸送を実行する手法として、注目されるモーダルシフトを牽引している存在といえるでしょう。
トラックドライバーは拘束時間が長時間にわたりやすい傾向がみられるため、ドライバーとして働きたいという方はだんだんと少なくなっています。
人が集まらなければ限られたドライバーで荷物を運ぶこととなり、さらに人手不足は深刻化するといった悪循環が起きている状況です。
それに加え、トラック輸送にかかる費用も上昇するなど、さまざまな課題を解決させることができる手法としても鉄道輸送への転換が期待されているといえます。
モーダルシフト化とあわせて、トラックで行う長距離輸送を複数のドライバーが分けて担当する中継輸送に対する取り組みも注目されています。
地球環境にも優しく人手不足対策にもつながる手法がモーダルシフトといえますが、推進したくても急な出荷量の増減には対応できないという問題や、トラックより輸送コストが高いこと、リードタイムが遅くなることなどの要素を改善させることが必要です。
他にも在庫拠点を設ければ、倉庫費用という経費が発生することになるので認められないという企業もありますし、リードタイムが延長されれば在庫金額が増えることを懸念するケースなども見られます。
そのためモーダルシフトを検討するのなら、一部コストが増えてしまうネガティブな部分だけにとらわれるのではなく、その他メリット部分による影響の大きさを含めて考えることが必要といえるでしょう。