新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年4月28日に香港政府は中国本土・マカオ・台湾からの入境者に対し行っていた強制検疫措置を6月7日まで実施することを発表しました。
国際空港評議会(ACI)が公表している2018年の「世界の空港別貨物取り扱いのランキング」によると、総合貨物取扱量は香港空港がトップとなっていました。
広大なスカイライン、そして天然の深い港湾を抱えている自由貿易地域である香港は、1k㎡という面積に人口は700万人を超すといった世界有数の人口密集地域でもあります。
そして今は世界有数の物流機能を保有する国際都市となった香港ですが、もともとは南中国に位置する寒村の1つにすぎませんでした。
しかし巨大な中国市場をバックグランドとした中継貿易港としての役割により、生産と消費の間の時間と空間を効率良く解消できる国際物流都市として生まれ変わったのです。
しかし2019年度の調査会社による、世界で最も忙しいコンテナターミナルランキングでは前年は5位だったのに7位に降格しています。
1位は上海(中国)、2位シンガポール、3位寧波(中国)、4位深セン(中国)、5位広州(中国)、6位釜山(韓国)とほとんどを中国が占めている状況です。
世界での香港のコンテナ量が減少したことは、中貿易戦争や周辺港湾との競争激化などが理由として挙げられていたものの、やはり新型コロナウイスル感染拡大の影響が今後は大きく関係するといえるでしょう。
さらに新型コロナウイルス感染症の影響によって、香港物流での貨物の航空輸送コストは上昇する可能性も示唆されています。
香港の航空輸送ニーズは大幅な低下傾向にあり、多くの航空会社では旅客機以外に貨物機のフライトまで削減していました。旅客機のフライトが減少すれば貨物を搭載する枠も減るので、輸出入貨物ニーズがあれば貨物の航空輸送コストも上昇してしまうのです。
香港では35%ほどの航空貨物が旅客機に搭載されていますので、特にマスクなど供給量が増えている防疫物資の価格がまだ十分に低下していないのは、物流コストが増えていることも関係していると考えられます。
米中貿易摩擦の影響だけでなく、新型コロナウイルス感染症の問題で、今後はさらに香港の物流業界に及ぼす影響は拡大していくものと予想されるでしょう。