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物流企業が誤解しやすい外交文書運搬と国際宅配便を意味するクーリエの違い

2021.01.06
分類:その他

外交官業務の一環であり、本国と世界各国の大使館や公使館などの間、または大使館や公使館の間の外交文書を運搬する業務をクーリエといいます。

英語でcourierと表記しますが、フランス語から英語として入った言葉であり、急使や飛脚などの意味を持つ言葉として使われています。

そこで、物流業界でも知っておきたいこのクーリエについてご説明します。

一般的に用いられているクーリエとは?

一般的に使われているクーリエとは、海外に書類やサンプルなどを送るときに使われる国際宅配便を意味しています。航空機を利用し、小口荷物を配達するサービスを指す言葉として使われていますが、EMS(国際スピード郵便)もクーリエと同じく便利な海外配送サービスとして利用されています。

クーリエは一般的な航空貨物と違って、荷送り人や荷受け人が輸出入の通関手続きを行わなくてもよいことがメリットです。

海外に荷物を送る場合、出入国の税関で荷物の通関手続きが必要となりますが、クーリエ業者はこの通関業務を行う通関士がいます。そのため国内輸送を使っている感覚で発送できるため大変便利といえるでしょう。

クーリエ業者の代表として挙げられるのが、FedEx/UPS(アメリカ)、DHL(ドイツ)、TNTエクスプレス(オランダ)などです。

国際貿易関連で書類が運送される場合、多くはこのサービスが利用されています。

 

EMS(国際スピード郵便)とは?

EMSExpress Mail Service)は万国郵便連合加盟の世界各国の郵政省・郵政庁・郵政公社など公的配送会社の行う国際配送サービスです。

国内では日本郵政が取り扱いをしていますが、EMSを使って海外に荷物を送る場合、インボイスの提出を求められるのはクーリエと同じです。

ただしクーリエと違って、内容物は国際郵便として輸送されますので、税関に輸出入申告する必要はなく郵便交換局で税関検査の対象となります。

日本では内容物が20万円を超えるときには申告が必要とされ、受取人またはその代理人である通関業者が通関手続きを行わなければなりません。

 

外交文書の運搬を意味するクーリエ

外交文書は機密文書を多く含むケースも少なくないため、運搬業務は厳重に封印が施されます。

そして外交官を意味する「DIPLOMAT」という文字の印刷がある機内への持ち込みを可能とする外交行嚢(外交封印袋)という巾着袋が用いられます。

さらに外交特権の1つといえますが、外交行嚢の中身は税関などで確認されないことが認められています。