バブル経済が崩壊したことをきっかけとして、平成時代は景気低迷から脱出するために様々な取り組みが行われてきました。それはどの業界でも変わりなく、不景気のままで終わらせるわけにはいけないと考えられたからです。
物流業界にとっても平成時代はまさに価値観の大転換といえる時代となり、平成初期から平成が終わるまでの間、トラック事業者の数は従来の1.5倍まで増加しています。
その背景には、物流2法などいろいろな規制が平成時代に緩和されたことが関係しているといえるでしょう。
物流業界にとって平成の30年間は大改革が続いた時代といえます。まず規制緩和によって大競争時代が始まり、ECサイトによりニーズが高まったことで巨大物流施設が連続して開発されるようになりました。
そして未曾有の大災害で主力産業のSCM断絶という問題も起きるなど、ロジスティクス・3PL・グリーン物流など様々な成長がみられるようになったといえます。
それに加え、コンビニ物流・ジャストインタイム・インターネット通販なども注目されました。平成時代は物流の時代であったと言い換えることもできるでしょう。
急激に需要が高まったことで、物流業界では需要と供給のバランスが取れなくなってしまったといえます。ニーズが高まりすぎたことで情報セキュリティシステムがダウンし、運ぶことのできない物流という現実を目の当たりにすることになってしまいました。
昭和時代の高度経済成長期から平成時代のバブル崩壊までの間、物流業界は製品付加価値を生まない経費として扱われていたといえます。
今でも物流はコスト問題と常に背中合わせという状態ですが、トラックの待機時間や積載率、倉庫の稼働時間に投資といった関係上、やっと共同化や24時間運用といった構想なども取り入れられるようになりました。
従来までの物流は付加価値を生まないという評価が、平成時代に大きく変化することになったのは、EC市場が拡大したことや巨大物流施設の設置、ITの高度化などが影響しているといえます。
企業収益力が量から質に、金融からITサービスに変化しているからでしょう。顧客ニーズに対応することが重要とされ、それが過剰サービスにつながってしまっている傾向も見られますが、平成になってようやく物流が単なる経費にとどまらないことが認められてきたと考えられます。