人々が生活を送る上で必要とされるものの中には海外からの輸入品が含まれます。
スーパーに並んでいる魚や肉、果物などの食料品の他、衣服・靴・鞄・雑貨・家具・電化製品なども輸入品というケースも少なくありません。
また、本や新聞など紙の原料である木材チップや、電気をつくるエネルギーである石油、石炭や天然ガスなども船によって日本に運ばれており、輸出入に占める重量ベース割合は99.6%とされています。
海運は他の輸送手段よりも重量や距離に対するコストが格段に安く済むことが大きなメリットであり、大昔から大量・長距離輸送を担ってきた存在です。
近年ではインターネットが広く普及し、海外からモノを購入する方も増えましたが、一部お高級品や急ぎの貨物以外の輸送は船が担っている状況です。
国内輸送でもだんだんとドライバーが高齢化し、人手が不足していることなどの問題があるため、貨物車自体を船に載せ長距離輸送を行うフェリーなどの役割も大きいといえます。
海運関連のビジネスはこれからも発展していくことが期待されますが、世界の海上の荷動きの確認と予想をしてみましょう。
まず1965年の世界人口約33億人に対する海上荷動き量は17億トンで、1人あたり換算0.5トンでした。
それが2002年になると世界人口は約63億人に増え、海上荷動き量も63億トンに達し、1人あたり換算で1トンへと増えています。
そして2050年には、世界人口は約98億人になることが国連で推計されているようです。
経済発展により人々の生活が豊かになれば、1人あたりの海上荷動き量もさらに増えていく可能性があり、海上荷動き量は約166億トン・1人あたり1.7トンになるのではないかと考えられます。
海運業は新しく船を発注しても、市場に供給されるのは2~3年後です。世界の荷動きが活発化すると、現存中の船だけで運ぶことが難しくなると考えられますが、新造船がすぐに供給されるわけではないため運賃や傭船料は高騰してしまいます。
反対に荷動きが鈍化すれば船が余る状態になってしまいますが、船主が船の係留や廃船という決断をしなければ、供給は減らないため運賃や傭船料は低下します。
世界経済の様々な変動要因の影響を強く受けやすい市況産業であるのも海運業の特徴といえるでしょう。