運送現場の中でも、たとえばフランスやイタリアなど、ワインの生産地で造られた後に現物がどのように日本に運ばれるのかご存知でしょうか。
旅の途中でかかるコストがワインの販売価格に上乗せされることになりますが、具体的にどのような輸送手段になるのかご説明します。
ワインは繊細で生モノといったイメージが強いため、輸送手段も時間をかけない航空便が利用されていると考えがちです。
実際、ボージョレ・ヌーボーなどが解禁される時期になると、飛行機の到着シーンが報道されることが多いからでしょう。
しかしワインの9割以上は輸送に時間をかけない航空便ではなく、時間のかかる船便で運ばれています。
店頭に出回っているワインの多くは、もともとコンテナ船の海上輸送で運ばれたものであり、ワイナリーを出て輸入商社から消費者に発送できるようになるまで3~4か月かかることが一般的です。
船便による海上輸送の所要日数は、今の物流システム発展から見ればだんだんと短期化されているといえます。
しかし実は年々日数が長期化されており、10年ほど前までは欧州から日本の船便は4週間程度だったものが、現在ではあちこちの港で積み下ろしを経て1か月半から2か月以上も海上で揺られ日本に到着するようになっています。
さらにこれは航空便の中でも最もコストがかかる国際宅配便による手配をし、特に何のトラブルや問題もなく最短の期間で届いたときにかかる所要日数ですので、もっとかかることもあると留意しておきましょう。
ボージョレ・ヌーボーなどの航空便輸送では、ワインの解禁日に間に合わせるため、収穫から仕込み、瓶詰めなどを行い最短で運ばれています。
大量のボージョレ・ヌーボーを日本に運ぶため、航空貨物のスペースは奪い合い状態となれば、普段の3~4倍の運賃が発生することもめずらしくありません。
そのためワインの価格もその分上乗せされることとなり、高い航空運賃を飲んでいるような状態になってしまいます。
欧州や南米から日本までの距離は1万キロですが、ワインの輸送はその距離を約3か月かけて行われることとなります。
その間にはいろいろな環境下に置かれることを考えると、輸送の工夫や配慮が必要となりいろいろなお金も発生します。
ワイナリーにトラックでワインを引き取りに行き、港で船に積み込み船旅を経て、日本に到着後は港からワインセラー、そして消費者に届けられるという流れです。