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運送や貨物関係で使われる乙仲という言葉の意味と通関業者との違い

2021.07.14
分類:その他

物流や通関業などにおいて、特に海運貨物業で「乙仲」という言葉が使われることがあります。

「乙仲」は「おつなか」と読みますが、そもそもどのような意味で使われる言葉なのか、通関業者との違いについてご説明します。

海運貨物業者を指す言葉

乙仲とは、港湾地区で海運貨物を取り扱う輸入業者に代わって、貨物輸送の手続きや取引を行う海貨業者(海運貨物取扱業者)のことです。

海運のみに対応し、航空貨物の取り扱いは行っていないことが特徴といえますが、この乙仲と呼ばれるようになったのは戦前の海運組合法までさかのぼります。

戦前の海運組合法では、海運貨物を取り扱う業者を定期的な船貨物を取り次ぐ乙仲(乙種仲立業)、そして不定期な船貨物を取り次ぐ甲仲(甲種仲立業)という2種類に分類していました。

1947年には海運組合法が廃止となり2種類の分類はなくなったものの、依然の乙種と甲種の分類で呼ばれていたものが現在まで続き、海貨業者を乙仲と呼んでいます。

 

現在の海貨業者が行っていること

現在、海貨業者は港湾で輸出入用の荷物を船積したり荷下ろししたり、国内では運送手配などを行っています。

また、これら荷役業務以外にも、通関・はしけ運送・貨物鑑定・貨物量の確認・検量・検数・倉庫業など、幅広く貿易業務なども担当していることが多いといえるでしょう。

また、コンテナ貨物が増えているため、港湾での業務のみを担当する業者は減少傾向にあります。その代わり、国際輸送や通関業などを請け負うフォワーダー業務を担う企業が増えており、乙仲という言葉自体がフォワーダー業務を指す意味で使われているともいえます。

 

乙仲と通関業者の違い

もともとは海貨業者を指す言葉だった乙仲も、一部では通関業者を意味する言葉として使用されています。

ただ、乙仲と通関業者の業務は同じではなく、乙仲は港湾運送事業法という法律に従いますが、通関業者は港湾運送事業法ではなく通関業法という法律で業務を担います。

通関業者は輸出入を行う業者などの代理人として、税関で行う申告業務を代理で手続きします。この手続き業務には、たとえば輸出入貨物に対し課税される関税や消費税、納付期限を過ぎてしまった税金に対する重加算税などの申告・納付業務も含まれます。

過払いしたときには還付請求を行い、申告にミスがあったときには更正・修正の作業なども行う必要がありますし、関税の減額や免除の際にはそれらの手続きも行うことが必要です。

他にも行政処分に対する不服申し立てや、陳述・審査請求といった手続きも代理で行います。