近年では、運送トラックを使った輸送から列車を使った鉄道貨物に切り替えを行うモーダルシフトに注目が集まりつつあります。
現在、日本での貨物輸送は運送トラックを使った方法が主流といえますが、トラックからの排出ガスなど環境問題への懸念が大きく取り上げられるようになり、さらに人材不足が深刻化しているためより鉄道貨物への注目度が高まっているといえます。
モーダルシフトとは輸送手段を転換させることですが、運送トラックからの転換先として注目されているのが列車を使った貨物輸送です。
大量性・定時制・環境性など鉄道の特性を生かした輸送が可能となることがその理由といえますが、具体的に次のようなメリットがあります。
貨物列車26両分を10トントラックに換算すると約65台分となります。
同じ荷物を10トントラックで運ぶ場合には、車両の台数分のドライバーが必要となりますが、貨物列車であればその人数分人員を削減できます。
また、輸送効率の高さから長距離ほど輸送コストが低減できるのも、貨物列車を使った輸送のメリットです。
運送トラックの場合、途中渋滞に巻き込まれることもあれば事故が起きるリスクなどもありますが、貨物列車は決められた走行速度と時刻で正確に運行されます。
さらに線路を使った輸送となるため渋滞などのトラブルも発生せず、計画的に輸送できる手段として活用できることがメリットです。
全国でコンテナを扱う貨物駅は約140か所あるため、1日で約500本の貨物列車が19万キロという走行距離で、荷物を日本全国に運びます。
特に長距離トラックのドライバーは不足が深刻化しており、今後も解消に至ることができるかが大きな問題となっています。
それに加え、燃料費の高騰による輸送コスト問題、CO2排出量削減問題など、様々な問題や課題が運送トラック業界にのしかかる事態となっています。
そのため、今後はトラックを使った輸送から列車を使った輸送へと転換していく動きは目立ってくることが予想されます。
ただし鉄道貨物で荷物を届けることができるのは目的地の駅までなので、駅からの配達はトラックが担当します。
列車とトラックが連携する形で輸送サービスを提供することは欠かせず、すべての輸送手段が列車にシフトするとは考えにくいといえるでしょう。