物流・倉庫業の決算書のうち、貸借対照表と損益計算書を見ると、特殊といえる勘定科目を使用しています。
たとえば、「売掛金」は「営業未収金」、「買掛金」は「営業未払金」など、他の業界ではあまり使用することのない勘定科目が多いことが特徴です。
他にも「売上高」を「営業収益」、「売上原価」は「営業原価」とすることが多いようですが、物流・倉庫業の貸借対象法と損益計算書の特徴について説明していきます。
物流・倉庫業の貸借対照表を確認すると、大型トラックなど高価な車両や、大規模な倉庫などの保有またはリースで、車両運搬具・土地・建物・リース資産など金額の割合が占めていることが多いようです。
倉庫を借りている場合には、リース資産以外にも敷金や原状回復義務に関する資産除去債務が大きくなっていることもあります。
資産除去債務を計上するのではなく、最終的に敷金回収が見込めないと認められる金額を費用配分し、敷金は償却する方法も簡便処理で認められているため、この処理方法を採用しているケースも少なくありません。
さらに、物流・倉庫業界の慣行で、鉄道運賃や関税など輸出入に関係する諸費用は物流業者が一時立て替えるため、立替金が大きめであるといえるでしょう。
物流・倉庫業の貸借対照表で、多く使用される勘定科目は次のとおりです。
・営業未収入金(売掛金)…貸倒の際に商事留置権を行使可能
・営業未払金(買掛金)
・立替金…輸出入に関係する諸費用の立て替えで発生することが多い
・リース債務…倉庫・トラックなどリース対応するケースも多い
・建物・土地…倉庫など物流拠点で金額が大きいことも多い
・資産除去債務…賃借倉庫の原状回復義務に関する資産除去債務が多い
・車両運搬具…トラックを多く所有するため金額が大きいことが多い
・リース資産…倉庫やトラックなどリース対応することも多い
・敷金…借りている倉庫の敷金の差入が多い
物流・倉庫業の損益計算書を見たときには、売上原価の中で人件費の割合が高いことが多いといえます。
労働集約性の高い業界の特徴ともいえるでしょう。
傭車料・外注費・下請費など別掲されていることも少なくないのは、業界特有の重層下請構造によるものといえます。
また、燃料費が別掲されていることも多いですが、日常的にトラック燃料補給が必要であるなど業界の特徴があらわれています。