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運送事業用トラックの交通事故の統計からわかることとは?

2016.10.17
分類:その他

平成 26 年の全国交通事故統計データから、軽自動車を除く事業用貨物自動車を対象とした交通事故の全体傾向を分析した結果、全国で多くの交通事故が発生していることがわかっています。平成 26 年に全国で発生した物損事故以外の交通事故件数は573,842 件で、そのうち死者数は4,113 人、負傷者数は 711,374 人であることがわかりました。そのうち事業用貨物自動車については、交通事故発生件数、死者数と負傷者数のいずれも減少しているものの、右左折時に発生した死亡事故は増加傾向にあります。

 

 

 事業用貨物自動車の車種別事故件数

平成26年中に発生した事業用貨物自動車(事業用トラック)による物損事故以外の交通事故は17,801件です。事故類型別で見た場合には、車両相互事故が16,460件で9割以上を占めており、次いで人対車両事故と続きます。車両相互事故のうち、追突事故が9,292件、出会い頭衝突事故は1,708件、右左折時衝突事故1,952件の順に多い状況です。

追突事故の発生率が高い

追突事故は自動二輪や原付を除いた自動車交通事故全体の約4割なのに対して、事業用トラックは約5割以上と高い構成率です。特に高速道路事故がそのうちの約7割と高い割合になっています。

事業用貨物自動車の運転者年齢層別事故

平成26年に発生した事業用トラックの交通事故のうち、年齢層別に見ると40歳代の追突事故が3,108件で最も多く、30歳代、50歳代と続きます。1,973件の順となっており、30歳代から50歳代の年齢層における追突事故件数(7,120件)は全体の約77%を占めています。年齢が若くなれば追突事故の発生率が高くなり、高齢になるに従って出会い頭事故などの割合が高くなっています。

運転者年齢層別死亡事故の構成率

死亡事故においての運転者の年齢層をみた場合には、平成22年からは40歳代の割合が最多となっていて現在も40歳代の構成率が増加している傾向です。

時間帯別で見た事故発生率

平成26年中の事業用トラックの交通事故を時間帯別で見た場合には、全体では10時から12時までの時間帯に多く発生し死亡事故だけで見ると早朝の4時から6時の時間帯に多く発生しています。死傷事故に占める死亡事故の割合は、0時から6時までという深夜から早朝にかける時間帯が死亡事故率の高い傾向にあります。

貨物自動車運送事業に求められること

ドライバーが交通事故を防止できるように、確実な点呼の実施やアルコール検知器を使っての飲酒運転防止、そして過労運転にならないための労務管理や自動車の点検整備を徹底するなど、様々な対策を講じることが必要です。運送事業用トラックの交通事故の統計など、過去の事故データを分析して事業用トラックがどのような場面で事故を起こす可能性が高いのかを理解しておき、事故が発生しないように注意を促すことが大切です。