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運送業は自賠責の保障で本当に十分?社用車の自家保険とは?

2017.02.21
分類:その他

トラックを毎日長時間稼働させている運送業者は、事故に遭う確率もその分非常に高いと言えます。
公道を走行する自動車は必ず自賠責保険に加入する必要があります。しかし毎日車を運転する業種である運送業者の場合、任意の自動車保険にも加入していることが当たり前のように思うかもしれません。
しかし任意の自動車保険は所有者が自分の意志で加入するため、実際のところ加入していないという運送業者も存在します。


自賠責保険のみの場合と何が違う?
自賠責保険は人身傷害のみの対応で物損に対する保障は何もありません。支払限度額も120万円です。
しかし任意の自動車保険に加入してれば、自賠責保険でカバーできない部分を賄うことができます。
例えば対人賠償責任保険へ加入した場合、被害者の人身損害による損害賠償責任を負担されます。対物賠償責任保険では、事故で他人の財産を損害したことによる損害賠償責任を負担します。


手厚くなるのになぜ加入しない?
もし任意の自動車保険に加入した場合には、強制保険である自賠責保険と別に保険料を支払う必要があります。
例えば2t超トラックで対人賠償責任保険と対物賠償責任保険を無制限で加入した場合、1台年間35万円程度が必要です。


自賠責と合わせるといくら必要?
2t超トラックの場合には、自賠責保険が12か月で49,900円ですので35万円と合わせると約40万円程度1年間に必要となります。
中小の運送会社が2t超のトラックを500台保有していれば2億円以上、小規模で100台保有していたとしても4,000万円以上の保険料が毎年必要になります。
それだけの額が被害額として上がるのかを考えた場合、特に大手になればなるほど保険料が高額になるので任意の自動車保険に加入せず、会社内でお金をプールしておく「自家保険」を採用していることが多いようです。


自家保険で本当にカバーが可能?
もし自家保険を検討するのであれば、任意の自動車保険に加入した場合にどのくらいの保険料を負担することになるのか、そして事故が起きた時の損害賠償金額のシミュレーションなどで比較して考えることが大切です。


損害賠償の負担で経営が立ち行かなくなる可能性も
自家保険によって保険料を節約するという運送業者も多く存在します。
しかし自賠責保険の上積み保険に加入していないことで、自賠責保険でカバーしきれなくなった時にはたしてオーバーした分の金額をプールできているかが問題になります。
損害賠償金は想像よりも多額になる可能性もありますので、膨れ上がった賠償金を支払えずにたちまち経営が立ち行かなくなる可能性もないとは言えません。そのため良く検討して決めることが大切です。