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運送業の人手不足は高齢のトラックドライバーで解決される?

2017.05.02
分類:その他

現在人手不足が大きな問題となっている運送業ですが、若者が車離れをしていることや過酷な勤務状況などが原因となりさらに拍車をかけている状況だと言われています。
日本は超高齢社会を迎え、社会保障費の膨張など将来的に不安視されている状況です。このような中で「高齢者」の定義を65歳以上から75歳以上まで引き上げる声もあります。
そうなれば現役世代と呼ばれる範囲は74歳まで延長されることになり、労働力が不足しているトラック業界で高齢者が働く機会が与えられることになるでしょう。


高齢者がドライバーとして働くことは妥当?
しかし現在、高齢者の危険運転で悲惨な事故が多発している状況です。たしかに10~20年前と比べれば、高齢者と呼ばれる世代は以前よりも5~10歳ほど若返っている状態であるとも考えられます。
前期高齢者と言われる65~74歳までの世代は、健康で活動的な状況を確保できている人が多く、75~90歳までが高齢者で90歳以上になって超高齢者と呼ぶことが適当だと考える声もあるようです。
2016年に内閣府が実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査」の中での意見を見た場合でも、70歳以上もしくは75歳以上を高齢者と考える意見が多く見られています。


高齢者の定義とする年齢が引き上げられると?
実際に高齢者と呼ばれる世代が引き上げになれば、年金や医療費の負担をする立場の人が増えるため社会保障費の削減効果が得られるでしょう。
しかし雇用面では定年後の再雇用を含めた雇用を義務付けられているのは65歳までとなっていますので、対応が追い付くのかという問題があります。


高齢ドライバーの何が問題?
65歳超のトラックドライバーが増えた場合、懸念されるのは交通事故でしょう。さらにトラックドライバーの仕事は、運転だけでなく積み込み作業なども含まれます。
荷役時の労災事故のリスク、さらに高齢者の認知症のリスクや動体視力の低下といった様々な疾患による健康起因事故も不安視されるでしょう。


もし高齢ドライバーが増えることになれば?
雇用する事業者が適性診断受診時、免許更新時など、さらには日々の点呼などを通じたドライバーの健康管理が重要になると考えられます。
さらには高齢ドライバーに対する雇用、業務、運転に関してのルールについて、今後業界が構築していかなければならないでしょう。


現役世代の範囲の拡大で人手不足は解消されたとしても…
深刻な人手不足の問題を抱える運送業界では、今後現役世代と呼ばれる人の年齢の範囲が広がることで高齢者の働き口として検討されることも多くなるでしょう。
しかし疾患や体力的な面で、どこまで高齢者に任せることができるのかという問題があり、しっかりとしたルールや体制が構築された上で実施されることが望ましい状況になると考えられます。