運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で多発する労災事故を防止するために

2017.05.08
分類:その他

トラックドライバーの業務には、車を運転するだけでなく荷積みや荷降ろしなどの力仕事も伴います。陸運業での休業4日以上の死傷災害は、全ての産業の中の1割強を占めているほど多く見られます。
労災事故が多く発生する業種であることを十分に認識しておき、運転や作業などいずれの業務の際にも危険回避のためにリスクマネジメントや防止策が必要となります。


政府労災による補償
労働者が業務中や通勤途上で災害にあった場合、規定に沿った保険給付を受けることができるのが政府労災保険です。
労災の「災」は災害の災ですが、ケガや障害だけに補償するのではなく、疾病労災という業務が原因で発症した病気や、労働を継続することでもともと持っていた病気が悪化した場合も労災認定されることがあります。


陸運業で労災事故が起きる場所は?
陸運業で労災事故と認定されるもののち、約7割が荷役作業中に発生しています。荷役作業の際の労働災害を大幅に減少させてことが運送業にとって最大の課題とも言えるでしょう。
荷役作業時の労災事故の発生場所として、その多くが荷主、配送先、元請事業者といった事業場構内です。


安全対策は陸運業者だけでは不足
荷主等からの荷の積卸し作業の環境に影響されることで労災事故が起きることが多いため、陸運業者がいくら安全衛生対策を行ってもその効果は上がりにくいといった状況が現状です。
このことから陸運業の労働災害防止対策を講じるのなら、陸運業者だけでなく荷主も積極的に関与することが必要だと考えられます。
陸運業の荷役作業においての労災事故を防止するためには、荷主等が荷役作業場に作業床を設置するといった作業環境の安全性の確保が重要になります。
さらに貨物自動車運転者が行う走行や荷役作業に対して、負荷をかけない発注条件を荷主側が示すことも必要だと言えるでしょう。


陸運業者と荷主の連携による事故防止体制が必要
陸運業者と荷主などが密接に連携して、労災事故が発生しないような協力体制を構築するとともに、危険性や有害性の調査、リスクアセスメント実施の促進、安全な作業環境の整備といったことを課題に検討していく必要があります。


任意労災保険への加入も合わせて検討を
対策を講じる上で、政府労災以外に任意で上乗せ保険に加入することも検討してみると良いでしょう。
労災事故による労働訴訟は増加傾向にあるだけでなく、賠償額も高額化しています。そのため労災事故が起きた場合、政府労災の補償だけでは不足することも十分に考えられます。
会社と社員の安全を守るために、安心して働くことができる職場環境作りのために保険を活用することも必要です。