運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が決算書の粗利益率から現状の分析を行うには?

2017.05.12
分類:その他

コストが高くなり売り上げが悪くなると赤字になります。赤字が続けば事業を続けることが困難になることも考えられますので、経営改善を早急に行う必要があります。
運送会社として勝ち残るためには現状を分析し、改善するための適切な策を講じることが求められるでしょう。
ただし自社の決算書の見方がわからないという経営者も存在します。現在の粗利益率から何が問題なのかなどを決算書から読み取るために、決算書のどこから見て行けば良いのでしょう。


まずは決算書のどの部分を見れば良い?
決算書を確認する際には、貸借対照表、損益計算書、運送原価明細などの財務状況から見ることが一般的でしょう。
貸借対照表でわかることは財務バランス、損益計算書からは発生した費用と利益の確認ができます。しかし運送会社が決算分析を行う際に最も重要になるのは運送原価の構成です。
運送会社の場合、粗利益率(売上総利益率)の段階で規範値の20%を下回っていることが大半です。その理由として売上、そして運送原価に問題があることがわかります。


決算分析を実施する方法とは?
分析していくためには傭車売上分を全体の売上から差し引き、自車両の売上分だけを100と考え原価項目ごとの割合を見ていくことが必要です。
労務費、燃料費、修繕費、保険料、減価償却費など、どの部分を占める割合が高いかを見ましょう。
ただし決算書から現状を分析していくことはとても大切なことですが、具体的な策を講じて行くには車両ごとの損益管理により問題点を把握していくほうが良いということは理解しておきましょう。

・燃料費
単価変動により構成割合が変わります。

・労務費
運送減価の中で最も多く割合を占めるのが労務費です。現在の労務費が適正かどうかを確認するためにも、自社の保有車両数より、2トン車50%、4トン車45%、10トン車40%を目安として加重平均して算出する標準労務費率を事前に打ち出しておきましょう。

・修繕費、減価償却費
修繕費の比率が5%を大きく超えている場合には、車両管理に問題があると考えられます。さらに減価償却費はリース代金も加算して考えることが必要です。

・保険料
保険料の割合の目安は3、4%で、優良割引が40%を下回るという場合には問題があると言えるでしょう。


今後運送会社が勝ち残るには?
運送会社が勝ち残っていくために、利益などももちろん重要ですがドライバーと車両の囲い込みがさらに重要だと考えられます。
機動力が十分でない物流子会社などは存在意義が薄くなっている傾向があり、親会社の人材受け入れ先に留まっている場合には勝ち残ることが困難だとも言えます。
現在何が問題になっているかを決算書から分析していくと同時に、人材不足をどのように解決していくかという問題も同時に検討していくことが必要だと言えるでしょう。