運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業は社会保険に加入する義務がある?

2017.05.30
分類:その他

日本の経済が不安を抱えている状況の中、企業の労務管理の不備に対して労働者の権利意識が高まることによる労働トラブルが増加傾向にあります。
トラック運送業などは業界特有の労務管理が要求されますが、労働トラブルが起きないための未然防止、そして早期解決が課題になっています。
そしてここ数年、運送業で大きな問題となっているのが社会保険の未加入問題で、行政指導も強化されています。


法人の場合は原則社会保険に加入する必要がある
法人の場合には従業員を常時使用していれば規模は関係なく社会保険に加入することが義務になっています。代表取締役や役員についても加入の対象です。


個人事業所は雇用している人数次第
一方個人事業所の場合には、飲食業や美容業といったサービス業以外の業種で、従業員を常時5人以上使用している場合には社会保険へ加入する必要があります。
加入の義務は一定の業種が対象になりますが、建設、製造、運送、販売、金融保険、医療介護などです。運送業も加入義務のある業種に該当していますので注意しましょう。


運送業者の労災保険について
なお、労働者災害補償保険は事業で雇用される労働者が生活を安定させること、そして福祉を向上されることを目的とした制度です。そのため雇用されている立場にはない中小企業の経営者や役員などは加入することができません。しかし特別加入制度を利用することで加入することができます。
この特別加入は年間100日以上労働者を雇用していることが要件なので、自分一人だけで仕事をしている一人親方などは加入できないことになります。


一人親方にも特別加入制度がある
一人親方でも、他の労働者と同じく仕事をしていれば加入できる一人親方制度があります。一人親方が労働者災害補償保険に加入するためには、まず一人親方団体に加入する必要があります。
今まで加入できないと諦めていた運送業の自営業者である一人親方でも特別に労災保険への加入が認められますので、運送業一人親方共済会など厚生労働大臣の認可団体に加入して、管轄する労働基準監督署に届出をしましょう。


社会保険への適正な加入を
運送業を個人で営んでいる場合で、従業員を雇用していれば人数次第で社会保険に加入することが義務付けられます。運送業もこの強制加入の必要がある業種に該当しますので、従業員を5人以上雇用している場合には加入の必要があることを理解しておきましょう。
また、貨物運送業務での災害発生率は、製造業や建設業に続く3番目に多い確率で発生しています。交通事故だけでなく、挟まれや転落などによる事故が多くみられています。事故が起きないことが一番ですので、事故の予防は必要ですが労災保険で備えることも必要です。