運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界で生き残るために経営者が行う運送原価の管理とは

2017.07.18
分類:その他

トラック運送業界では、様々な事業者が赤字経営に悩まされている状況にあります。この業界の収益が低いのは、参入事業者数が急増したことで運賃水準が軟化した上に、燃料価格が高騰したこと、さらには安全や環境整備、法令や規則を守ることを重視する上での費用が増えたことなどが挙げられます。
しかしいずれも自助努力で迅速かつ効果的に対処することができれば、十分に生き残りを勝ち取ることができます。


生き残りをかけた行動パターンとは?
トラック運送業の事業者が生き残るための具体的な行動パターンとして、優秀な人材と自社の強みを活かすことができる活力のある組織の確保、計数管理の導入、運送減価の裏付けがある運賃設定、競争力のあるコスト構造への転換、そして中・長期的に事業戦略や目標を持ち経営を営むことを実践しています。
しかし実際には掲げる目標や求められる達成レベルは千差万別です。トラック運送業界は中小企業が99%を占めている状況ではありますが、中小企業と一言で言っても、車両を数百両有している大企業的物流事業者もいれば、反対に車両台数や従業員数が少数の生業的運送店などもあり差が大きいからです。
そのため事業を改善する対策も、中小企業というひとくくりで考えるのではなく、企業の規模や改善の意識などに合わせて何を優先させるべきかを考えて行くことが必要になります。


生き残るための策とは?
経営上抱えている課題を整理し、改善していくための策を検討するために現状をしっかりと分析し、数値で実態を把握することも必要になります。
数値での把握は、損益計算書や貸借対照表などの財務分析だけでなく、運送原価や運行効率についても把握しておきましょう。


運送原価の把握はなぜ必要?
運送原価の把握は手間がかかりますが、原価を上回る運賃でサービスを提供して利益を上げることが重要です。荷主との契約を締結する際に、正確な運送原価を把握できていなければ適正な交渉に至りません。
さらに従業員の労働生産性や環境に対する貢献度など計数で実態を把握し、それをもとにした評価と改善もできれば行った方が良いでしょう。


把握していくサイクルは?
トラック運行で金額の大きい経費として、車両費、人件費、運行三費があり、一般管理費、営業外費用といった費用もかかります。
半年や1年単位で見る財務会計とは異なって、原価計算の目的はコスト削減、運賃水準の評価、採算性分析といったもののため1日や1か月単位で見ていくことが望ましいでしょう。


突出した費目の洗い出しと改善策の検討を
運送原価を分析していくことにより、運送費と一般管理費それぞれの費目の中でコストを削減できる余地はないのか検討できます。
過大な費目については、自社のコスト額や費用の構成比を過去の数値(または業界の平均)と比較し、なぜ大きくなっているかの要因を洗い出し具体的な改善対策を検討します。
運送原価をもとに適正利潤を加え、現状の運賃水準の評価や運賃の設定を行うことが必要になるでしょう。