運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で賠償金を受取った場合や支払った場合の消費税の取扱いについて

2018.03.26
分類:その他


もし運送業で損害賠償金を受取った場合、消費税は課税の対象なのでしょうか。
原則、国内で事業者が行った事業として対価を得るための資産譲渡や貸付、役務の提供などについては消費税の課税対象です。
そのため損害賠償金を受取ったとしても、対価を得て行われる取引ではありませんので不課税取引であると判断できます。


消費税が課税されるケースに注意を!
ただし次のようなケースにおいては対価性があると判断されるので、消費税が課税対象となる可能性があるので注意してください。

・そのままの状態や軽微な修理を加えることで使用が可能な状態の(損害を受けた)棚卸資産を加害者に引渡し、損害賠償金を受取るケースは棚卸資産の譲渡に該当する可能性があります。

・特許権や商標権など、無体財産権の侵害を受けた場合で、権利者が受取る損害賠償金は特許権等の貸付と判断される可能性もあります。

・事務所の明渡しが遅れたことで受取る損害賠償金は不動産の貸付とみなされる可能性があります。


特に注意したいのは商品を引渡してしまうケース
この中でも損害を受けた棚卸資産を加害者に引渡すケースが最も多く見られ、例えば、得意先に商品の運送を依頼した運送業者が事故に遭ったことで商品が破損し、商品を引渡した状態で損害賠償金を受取れば売上と同様の扱いとなり消費税が含まれることになってしまいます。
このようなケースでは損害を受けた商品を引渡さないようにすることで、対価を得る資産の譲渡には該当しなくなりますので、消費税の課税対象から外すことができるでしょう。


企業が損害賠償金を支払った場合の税金の扱いは?
反対に企業が損害賠償金を支払った場合において、法人税と消費税の取扱いについても確認しておきましょう。

・業務に関連する行為で、故意や重過失がない場合の損害賠償金は、法人税は損金、消費税は不課税の扱いです。

・反対に業務に関連する行為で、故意や重過失によるものの場合には、法人税は求償権、消費税は不課税の扱いとなります。
なお、求償権とは他人の債務を肩代わりした人が債務者本人に肩代わりした債務分などを請求する権利です。
ここでは役員や使用人に対する債権を指しており、支払い能力から求償できなければ貸倒処理を行います。

・心身や資産に及んだ損害に伴う損害賠償金は、法人税は損金となり、消費税は不課税の扱いです。

・物損事故で現物を購入して補償した場合、法人税は損金となり、消費税は課税されます。

・業務には関係のない行為に関しての損害賠償金については、法人税は求償権の扱い、消費税は不課税となります。


状況によって税金の取扱いは様々!
損害賠償金を受取るケース、支払うケースなど状況によって様々ですが、税金の扱いがどのようになっているか確認しておき、正しい処理を行う必要があります。