運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が知っておきたい運送人が損害賠償請求を受ける可能性について

2018.04.18
分類:その他

荷主より貨物を預かって輸送や保管を行う運送人は、運送・受諾契約などに基づいて貨物を安全に目的地まで輸送し、荷主に引渡す義務を負います。
仮に貨物に損害が発生した場合において、原因が運送人にあると判断できる場合は、荷主は契約に基づいた運送人に対する損害賠償請求が可能になる点を理解しておきましょう。


荷主が保険を手配していても・・・
損害賠償責任は荷主側が保険を手配していれば免除されるわけではなく、荷主が損害に対する保険金を保険会社から受取った場合、損害に関しての損害賠償請求権は荷主から保険会社に変更されることになります。
請求権を取得した保険会社は、運送人に対して損害賠償請求を行う代位求償を行うという流れです。

・なぜ保険会社が代位求償を行う?
例えば回収金額がある場合、支払い金額から回収金額分は差引いて保険成績を計算することになるので、保険加入者の保険成績が回収金の部分について良くなるようです。
また、事故を起こした相手に注意喚起を行うことができるため、貨物の荷扱いが改善されるとも言えるでしょう。


もし荷主の立場なら損害の確認が必要
なお、運送人から貨物を受取る時に損害の存在が判明している場合や、外から損害が疑われる状態の場合、受渡書類に異常の有無の記載がされているかを確認が必要です。記載がない場合には、運送人に対して記載を求めることになります。
また、運送人に対する書面での事故通知を出すこと、保険金請求に必要な書類を遅れることなく提出することも必要です。


運送業の立場なら損害賠償請求への備えが必要
運送業では偶然の事故により、貨物の所有者に対する損害賠償責任が発生する可能性について十分考えておく必要があります。
輸送用具の転覆や脱線、墜落など、様々な要因が損害賠償責任を負うことに繋がりますし、火災や爆発などによる損害においても同様です。
このような事態に備えて、万一のために運送業者貨物賠償責任保険への加入を検討しておく必要があるでしょう。
特約を付帯することによって、貨物損害に伴う残存物取片付けや廃棄の費用、検査費用、臨時費用など、再三者に損害を与えてしまったことによる賠償責任についても補てんすることができます。


保険での備えの重要性の理解を
運送業は大切な貨物を預かって運搬しなければなりません。
その間に事故などが起きてしまい、貨物に損害が及んだ事で更なる損害が発生したら、多額の損害賠償金を請求される可能性があります。万一に備えて、保険に加入しておくことはとても重要なことだと言えるでしょう。