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運送会社で働くドライバーと36協定(サブロク協定)を結ぶ時の注意点

2018.11.02
分類:その他
労働者に法定時間を超えて働かせる場合には、事前に労働組合や労働者の代表と協定を締結しておくことが必要です。この協定については労働基準法第36条に規定があることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。 36協定(サブロク協定)とは、1日8時間、1週間40時間を超える時間外労働をさせる場合、法定休日に労働させる場合に労使間で書面にて協定を結びことが必要という内容です。 運送会社でも36協定を結ぶことは必要ですが、協定を締結せず、労働基準監督署に届出も行わずに従業員に時間外労働をさせた場合には労働基準法違反となります。 労働基準法違反となれば、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられるので注意しておきましょう。

36協定を結べば何時間でも残業可能?

36協定を結んでおけば、無制限で残業をさせることができるわけではありません。 時間外労働には限度時間が定められており、原則、月45時間、かつ年 360 時間とされています。 なお、変則的な労働時間を取り入れている1年単位の労働時間制の場合、制限時間が若干変わります。

トラックドライバーとも36協定は必要

運送会社で働くドライバーの業務は長時間労働が前提と考えられることが多いですが、改善基準での運転時間は、2日平均で1日9時間以内となっています。 改善基準とは、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」のことで、自動車運転者について労働時間などの労働条件を向上するため、拘束時間や休息時間等の基準を定めているものです。 改善基準の範囲でも時間外労働が発生することになるのは、時間外労働を行わなければ業務が成立しない業種だからと言えるでしょう。そのため、労使間で36協定を結び、届出を行っておくことが必要です。

限度時間はどのように設定する?

36協定では、残業させることができる限度時間を協定しなければならないですが、限度時間は通常、限度基準で決められます。 しかし、トラックドライバーなど自動車運転業務の場合、限度基準は適用されないとされています。そのため、改善基準告示による拘束時間を越えない範囲で運送事業者ごとに限度時間を算定することが求められます。

拘束時間が大きなポイント!

拘束時間とは、労働時間と休憩時間を合計した時間です。改善基準で定めのある拘束時間は次の通りですので確認しておきましょう。 □1か月の拘束時間 1か月の拘束時間の限度は、原則、293時間です。 ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面で労使協定を結んだ場合は、1年のうち6か月までは1年間の拘束時間が293時間×12か月=3,516時間を超えない範囲で、1か月の拘束時間を320時間まで延長できます。 □1日の拘束時間 始業時刻から起算して24時間の拘束時間は、原則、13時間以内とされています。延長する場合でも限度は16時間までです。 さらに、拘束時間が15時間を超えてよい回数は、1週間に2回までとされています。 また、1日の休息期間は継続8時間以上必要です。 36協定を結ぶ時には、この拘束時間を超えない範囲の実労働時間を算出し、延長可能な残業時間を決めるようにしましょう。